Focus: White Blush

White Blushはロス・アンジェルスを拠点に活動するCarol Rhyuによるミニマル・シンセ・プロジェクト。去年の年末にはbandcampでリリースされたデビュー・アルバム、『White Blush』をName Your Price(値段はあなたが決めて)でリリースしています。

ドリームポップ、ミニマル・テクノ、シューゲイズを自由に行き来する柔軟なフットワークと、実験的ながらもポップ/DIY精神を貫く姿にGrimesの影も見えます。このLPに収録された”Wait”はPerfume Geniusを思わせる幽玄でエモーショナルなトラック。また収録曲で一番ポップな”Mirror”ではラナ・デル・レイの歌詞をこっそり借用するなど、ユーモアにも溢れています。Blonde Redheadのカズ・マキノを思い起こさせる涼しげで憂いた歌唱も、White Blushのどこか非日常的な世界観のキーになっています。

Lights + MusicはそんなWhite Blushにフォーカス! 日本のホラームービーやアニメにも影響されたという彼女に突撃インタビューを敢行しました。

Focus: White Blush
By Satoru Teshima, January 14, 2013

ご自身をどのように三つの言葉で表しますか?

Faint. Mute and dissociated

子供のときからずっと音楽には親しんできたのですか?

全くそんなことありませんでした。6歳のときは歌うのが好きって言う意識はあったみたいです。でも20年くらいその気持ちを忘れてしまっていました。音楽をやるっていうのは今になっては昏睡状態から目覚めるような、そんな感覚です。

お気に入りの楽器は何ですか?

私のお気に入りの楽器はヴァイオリンです。技術的にも聴覚的にも大変努力な必要で、少しでも「上手い」と言われるには「完璧」でなくてはならない。完璧なものが好きです。エクセレントで完璧なものが!

ドリーム・ポップ、ミニマル・シンセ、シューゲーズといったあなたが楽曲に取り入れている音楽スタイルはどのように習得したのですか?

私は2年ほど前にミニマル・シンセのバンドで活動していて、まるで工場で演奏していても問題のないような音楽を思い出させてくれました。冷たくて、メカニカルで、とてもよそよそしくて、私はすごく気に入っていたんです。ジャンルは全く気にしませんでしたし、そのバンドや彼らの影響なども知り得ませんでした。音の聞こえ方が好きなだけでした。とてもムーディーでアトモスフェリック。

あなたの楽曲の多くは視覚的で、デイヴィッド・リンチ監督の映画にも簡単にフィットできそうです。作曲するときはどのようなヴィジョンを描きますか?

「イレイザー・ヘッド」と「ブルー・ヴェルヴェット」は私の心のとても特別な場所に存在する映画です。奇妙で心がかき乱される作品なのですが、それと同時に愛らしくピュアな要素も存在しています。きっと私も結婚、子供、家庭、郊外に住むことに対する似たような「幼い恐怖心」を持っているのでしょう。常にこういう曖昧なヒステリーから逃げ出そうとしているような感じなのです。でも正直な所、私ももっとノーマルな人間で、ショッピングとかノーマルなことを楽むことができれば良かったな、と願う気持ちはあります。ただそれってほんとに退屈なんです。人生は時に本当に退屈です。

私は対比をよく考えます。色、音、曲展開の対比、そし「あらゆるもの」と「無」がちょっとずつ存在するのが理想です。私が望むものなら何でもです。

『Mirror』というトラックにはこっそりラナ・デル・レイの歌詞を潜ませていますね。動機は何だったのですか?

Ah!誰にも気づかれなければいいなと願っていたのに!でも私はラナ・デル・レイのナイーヴで悲劇的なクオリティーが気に入っています。彼女の詞にはどこか洗練されていなくて、陳腐な印象があります。「It’s you, it’s you, it’s all for you / Heaven is a place on earth with you」など、ひどい詩の一節のように聞こえます。全く浅はかでニセモノのようですが、同時にロマンティックで理想主義的です。彼女はまた実際の年齢よりも年上で、成熟したように振舞いますよね。キュートで愛らしいと思いますよ。彼女は自身のアートに関わるの決断を他人に任せているように感じますが。私にとってそれは「フェイク」といえません。彼女の考える「悲しみ」をさらに悲しくしているだけです。また「インディー・ミュージック」が何かわからないと主張しているのも面白いですね。


日本のホラーやアニメからインスピレーションを得ることがあると聞いたのですが、お気に入りの映画を教えてください。

「攻殻機動隊」と「リング」です。ただ長い間見てないですね。哲学的なテーマや色調、アートワークに親しみを感じます。とてもインスパイアされますし、惹かれます。他のお気に入りは「バトル・ロワイヤル」「反撥」「ペルソナ」「ジェーン・エア」「ブルー・ヴェルヴェット」「籠の中の乙女」「The Bothersome Man」

今の時代、音楽制作は非常にやりやすくなりました。始めたばかりのアーティストが音楽をもっと聞いてもらうようにするには、何が重要だと思いますか?

私はエキスパートではありませんが、制作中に自分のことを驚かすことが大事だと思います。自分が出来ないと思うことをやってみる。そして自分がやっていることは最初から「大事な仕事」なのだと思い出すことです。

自身の楽曲は聴き手の好きなように解釈されたいですか?それとも具体的でありたいですか?

うーん。私は具体的な物事を(あえて)具体的にならないように書き進めます。陳腐な歌詞を書くのが楽しいです。なぜなら、私にとって楽曲が私自身のことではなく、「経験」「感情」、そして遠い過去の、しかし同じ時間軸で起きている人生の一瞬を描くことが大事だからです。それはまた未来へのシビアな切望であります。

“Wait”の「言葉に出来ないセンセーション」をはじめ、今作は「性欲」について多く語られているような気がします。セックスについて語ることは恐れていないのでしょうか。

少し恥ずかしい質問ですね!私は自分自身をセクシュアルな人間だと全然感じていませんが、確かにそういう考えや欲望がよぎることはあります。私はただ誰かのそばにいるという感覚が好きなんです。それによって夢中になったり頭がいっぱいになることが。でももっとヒドいのが「正しいものなど何もない、特に私の感情においては…」と考えて失望すること。私はひどくマヒしてしまいます。「性欲」は大抵自分自身への抑圧や自分へのコントロールから生まれるものだと思います。コントロールが全てのように感じます。

最後に新年の決意を教えてください。

特に何か決意したわけではないのですが、今年はもっと自分という人間に恥をせず、作品に対して大胆不敵になりたいです。

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