Interview: Spectral Park

Spectral ParkはUKはサウサンプトンのマルチ・インストゥルメンタリスト、Luke Donovanによるサイケデリック・ポッププロジェクト。先月アメリカのローファイ・インディーの最重要レーベルMexican Summerよりデビューアルバム『Spectral Park』をリリースしました。

Lukeは以前Montage Populaireというローファイ・サイケバンドで活動をしていて、実はその時にPrivate Dubでインタビューしていたのですが、惜しくも解散。バンドの活動中も、新しい何かを見つけるため、ソロプロジェクト、Spectral Parkを立ち上げます。ガールフレンドの兄弟が拾ってきたという古いレコードの山から面白いサウンドをサンプリングし、それを独自の視点でコラージュ。その上から全て自らが担当したという楽器とデイヴィッド・ボウイの影響も感じられるグラマーな歌声をレコーディングし、60年代の空気を存分に含んだ、底なしのサイケデリアと輝かしいポップネスを作り上げています。

今月はUnknown Mortal Orchestraとのツアーも控えているという彼ら。Lights + MusicはSpectral Parkのマスターマインド、Luke Donovanに色々お話を伺うことが出来ました。


Interview: Spectral Park

By Satoru Teshima, Feb 12, 2013

前のバンドMontage Populaireに何が起こったか教えて頂けますか?

Montage Populaireは2012年の三月に解散した。まあいろいろあってね。二年間一緒に活動したけど、業界のトラブルに延々と巻き込まれてしまって、みんなやる気を失ってしまったし、本当は自分がやってるサウンドにも満足しているメンバーはいなかった。

それではSpectral Parkはどのようにスタートしたのですか?

バンド解散の数ヶ月前にサイド・プロジェクトとしてSpectral Parkを立ち上げたんだ。バンドで集まって作業する時間よりも、僕は常に一人で多くの曲に取り掛かっていたし、Montage PopulaireとしてデモEP『Nothing Serious』—といっても僕が宅録したものを集めた作品だった—をリリースしてから、積み重なって古くなってしまっていた楽曲を、曲が死んでしまう前に何かしなきゃいけないと思った。そして2011年の後半、ガールフレンドのお兄さんが住宅街の外にランダムに捨てられていたレコードの山を見つけて、僕はそれを貰って、ちょっとずつサンプリングをし始めた。新曲のアイディアが生まれるまで色々試してみて、新しいパート、メロディー、ボーカルをレコーディングした。サンプラーは今まで使ったことがなかったから、事故的にアイディアに出くわす楽しい手段だと思ったし、バンドでの共同作業や、伝統的な方法での作曲/レコーディングよりもっと素早くアイディアを生み出すことができた。Spectral ParkのデビューLPのほとんどはその次の一週間で作曲とレコーディングが行われたんだ。

そして2012年の一月に娘エロディーが生まれ、彼女は出産後の合併症のせいでかなり弱ってしまっていた。娘が生まれてから一週間は手も握れなかったし、顔を見ることも出来なかったし、その月はずっと入院で、次の三ヶ月は今後脳手術を行う重要性がどれほどあるか、その答えを聞くために待たなくてはならなかった。恐ろしいことだったし、僕は精神的に参ってしまっていた。時間があるときに作品の残りを急いで作業してたのだけど、何ヶ月かは不思議でダークなショック状態にいて、アルバム制作に戻ったり、バンドメンバーを集めたりするのは難しいと感じていた。エロディー以外のことを自分が考えていることに気づいた時、罪の意識に苛まれたり、気持ち悪くなったりした。おかげさまで今のところは万事大丈夫そうだよ。

Mexican Summerをデビューに選んだのはなぜですか?

Mexican Summerからリリース出来るなんて信じられないよ。デビューアルバムに収録の楽曲は乳歯みたいなものだとずっと考えてたし、きっと今回は自主リリースにして、次のアルバムはもっとうまくやろうって気持ちになっていたと思う。だからMexican Summerのようなレーベルがこの作品を支えてリリースしてくれるっていうのは本当に意味があることだし、彼らのリリース作品は素晴らしいものばかりで、その仲間に入れたっていうのは本当に嬉しい。

シングル”L’appel du Vide”について教えてください。「喪失の呼び声」という意味ですが、この曲のインスピレーションはなんですか?

このフレーズのフランス語翻訳は曲が完成してから知って、この曲の急降下するカオスや切迫感にピッタリだと思った。歌詞が何/誰にインスパイアされているかはよく分からないけど、きっとその時僕が大変だなと思っていた色んな物事や人間関係がインスピレーションなのかな。いやちょっと感傷を大げさにして、想像上の人格や人間関係に迷い込んでしまったのかも。時には存在しない誰かを傷つける方が簡単だからね。

今作のアルバムカバーはすごく印象的です。どのようにして生まれたのですか?

コラージュのために古本や昔の雑誌をトランクセール(=米ガレージセール)でたくさん拾ってきた。LPのアートワークのほとんどは”The Unexplained: Mysteries of Mind, Space & Time”という雑誌から切り抜いたもので、50ペンスで全2巻手に入れたんだよ!超常現象を取り上げたかなりイケてる雑誌で、変ちくりんで黄ばんだイメージがたくさんあった。ネコと裏面のアートワークは色んなコラージュを試してる時にそこから見つけたもの。

あなたはサウサンプトンのシーンに長い間いて、音楽家としてのキャリアも浮き沈みがいろいろあったと思いますが、それでも続けようと思った理由は何だったのですか?

サウサンプトンにはかなり良いシーンがある。素晴らしい人々やバンドがいるし。だけど自分がおかれているシーンだとか、成功したとかしてないとか、それで僕が何か始めたり止めたりするかと言ったらそんなことはない。ギターを手に入れたその日から作曲やレコーディングはずっと続けてきた。「誰かに自分の曲を見せたり演奏したい」って思うずっと前からずっとだ。月の洞窟で住むことになったとしても同じことをやってると思う。

僕はけっこうシャイな方で、長いこと誰かの前で演奏してこなかった。きっと誰かが探そうと決めたら見つかるような、後に残る「しるし」を残したいっていう気持ちがずっとあったのだと思う。でもそれって頻繁に起こるわけじゃないし、毎日の生活でそのことが僕を動機付けると言ったらそんなことはない。きっとある人にとって、音楽とは出来るだけずっと触れているもので、そうじゃないと落ち込んだり一緒にいられなくなったりするんだと思う。僕の友達にもそういう強迫観念に陥った人がいた。

あなたの音楽性で「ポップ」は重要なウェイトを占めている様に見えますが、実質的にあなたにとって「ポップ」はどういうものですか?

僕はつねに今溢れている多くの音楽に影響される。でもクセで音楽を深く研究しすぎたり、スキミングして、自分の作品をインスパイアする何かを探しちゃうんだ。「普通」のものでハマったのは、ビートルズ、ボウイ、スミス、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、シド・バレッド、ラブ、キンクスあたり。「ポップ」という言葉を考えた時頭に浮かぶのは彼らだ。僕が子供の頃に会った人たちとの共通項は大体こういうバンドだった。ジャンルやスタイルに縛られる必要はないと思うけど、僕の活動の中で今挙げたバンド達から最低一つは拝借してると思う。特に最近の他の作品では僕が知らぬ間に編み込まれているかも知れない…。

最後に今後の予定を教えてください。

この間始めてのバンドでの初のライブをやった。自分一人でずっとやってきたから、友達と一緒にまたノイズを出せるのはナイスだね。こういうことも、これからのショーも、色んな街を訪れて遊ぶことも楽しみになってきた。2月に開催されるUnknown Mortal OrchestraのUKとヨーロッパのツアーをサポートすることになっていて、僕らの二回目のライブが僕らが(ファンで)ずっと足を運んできたバンドのサポートになるなんてかなり変な感じ。それから先はわかんないな…。アルバムに対して良い反応がくるといいけど。夏の間はフェスティバルに参加したりもうちょっと他の街でツアー出来たらいいな。

多分今年中にもう一枚アルバムを出すと思う。今仕上げに入ってる最中なんだ。それにバンドでも一緒に作曲やレコーディングをしようと思ってるし、どうなるか楽しみだよ。

デビューアルバム『Spectral Park』は現在JET SETでヴァイナル盤を取り扱い中です。

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