Interview: Cascine

ロンドンとニューヨーク、二つの重要な文化の発信地を拠点にポップの新たな可能性を追求するレーベル、Cascine。2010年の創立以来、Shine 2009, Chad Valley, Jensen Sportag, Erika Springなどエクスペリメンタル・ポップ界を牽引する数々のアーティスト達を発掘してきました。今回Lights and MusicはCascine創立二周年を記念してレーベルの創始者であるジェフ・ブラットン氏にお話を伺いました。

二周年を記念して発表されたコンピレーション・アルバムCascine Standouts:2010-2012に収録された14曲は、一つ一つ個性的なポップサウンドを鳴らしていますが、どこか一貫性を感じます。それはCascineの「本能から生まれる音楽への愛情を表現する」という美学が全てのアーティストに浸透しているからであり、それが彼らの目指す「新しいポップの形」なのでしょう。

ここではCascineの歴史、ポップへの見解、フィジカル・フォーマットの貴重性とレーベルの将来など、貴重なお話をたくさん聴く事ができました。Happy birthday, Cascine!

L+A: Cascineについて教えていただけますか?

Jeff: Cascineはポップ・レーベルなんだ。僕らが子供の頃に音楽への愛情を形作ったもの…80年代ブリット・ポップ、90年代のダンス・ミュージック、黄金期のヒップホップとか、そういうものから大きな基準線を引いている。僕らは「プロ」の音楽愛好家としてスタートして、レーベルが出来たのはその後なんだ。

L+A: レーベルはどのようにして始まったのですか?

Jeff: サンドラ・クロフト(Cascineのパブリシスト)を通して、Shine 2009が僕が当時働いていたServiceというレーベルにアプローチした。でもこのバンドはServiceにはちょっとフィットしないと思った。それでShine 2009の最初のEPをリリースするために、サンドラとジェイソン・ロマネリの力を借りてCascineを立ち上げることにしたんだ。そこから先は、後ろを一度も振り返らなかった。世界がプロセスをうまくサポートしてくれたんだ。

L+A: アーティストはどのように見つけるのですか?

Jeff: いろんな方法がある。アーティストの一ファンとして直接僕らからアプローチこともたくさんあるよ。それ以外のアーティストは彼らの方からアプローチしてくる。ニューヨークとロンドンに住んでいると、ライブ、パーティー、友達を通しての出会いもあるんだ。

L+A: Cascineがニューヨークとロンドン、二つの異なる文化の中心都市を拠点に活動しているのはかなりユニークだと思うのですが、何故別々の場所なのでしょうか。またこの条件はどのようにうまく起動しているのでしょう。

Jeff: 僕らにとってはこれが完璧な条件なんだ。ジェイソンと僕はニューヨークに住んでいて、ロフト・スタイルのオフィスをチェルシーに設けている。サンドラは東ロンドン。ベスネル・グリーンの近くで仕事をしている。僕らのコミュニケーションの方法はというと、だいたいemailやスカイプ。半年に一回は必ず直接顔をあわせるようにしているけどね。

L+A: Cascineがヴァイナル、あるいはデジタルフォーマットでのリリースに徹しているのは何故ですか?あなたたちはヴァイナルの良き部分を保ちながらも、インターネットの時代を受け入れてるように思えます。

Jeff: 僕らは「レーベルはまだフィジカルな媒体で商品を作り続けるべき」だと強く考えている。ヴァイナル・レコードは「三次元の形で素材に息を吹き込む」というヴィジョンを持つチャンスを僕らに与えてくれるんだ。でも僕らが音楽を聴くのは大抵デジタルからだから、作品は常にMp3でも提供している。

L+A: Cascineの二年間を教えていただけますか?良い事も悪い事もあったと思いますが、Cascineを発足してから一番印象に残ったことはなんでしょう?

Jeff: この二年間は本当にローラーコースターのように過ぎていったよ。最高の形でね。僕らはかなり速い速度で進んでいて、それが原因でCascineの他のメンバーから非難を浴びることもよくあるよ–物事をあまりにも速く進めすぎてしまうんだ。でもそれは情熱に突き動かされているから起こることだし、音楽に凄く胸が高鳴るんだ。この二年間で一番の出来事は、僕らが抱えるバンドたちと一緒に仕事をしてきたこと。たくさんのクールで創造性に溢れたキッズたちが僕らの一日を埋めていく。

L+A: この二年間でどのようにシーンは変わったと思いますか?

Jeff: 良きにしろ悪きにしろ音楽を始める障害があまりにも少なすぎる。今の時代誰でも音楽をリリースできるし、だれでも音楽を批判できる。今の音楽シーンはひどく統制されていない。

L+A: このコンピレーションについて教えてください。何故コンピレーションを出そうと思ったのですか?

Jeff: このコンピレーションのリリースはサム・ヴァレンティ(Ghostly Internationalのボス)が今年の春に僕に提案したことがきっかけなんだ。サムは「一つの場所にCascineの美学を捕らえたもの」としてコンピを制作するように勧めてくれた。だから二周年を迎えた今を一つの場所として選んだんだ。多分後5周年を迎えるまでお祝いすることはないと思う。公共の場では、ね。

L+A: チルウェーブ、ウィッチウェーブ、ハイパーベースなど、新たに生まれてはすぐに消えていくジャンルがたくさんあります。Cascineは広く「エクスペリメンタル・ポップ」にフォーカスを当てていますが、その中でCascineは現在の音楽シーンにどのように関わっていると思いますか?

Jeff: 素晴らしい質問だね。僕らは大抵のポピュラーなジャンルの外側に存在している。僕達のポップの考えは、もっとタイムレスなもので流行にあまり縛られないもの。最近の音楽界の細々としたムーブメントも多く評価しているけれど、僕達のポリシーはリスナーとして本能的に正しいと感じるポップであること。その音楽が気に入ればリリースする。今の流行なんか関係なくとも。

L+A: 「エクスペリメンタル」と「ポップ」は相互的なものであると言えます。ポップをどのように説明しますか?

Jeff: モダンな意味で、Cascineにとってポップは純粋で伝統的なものだ。でも同じようにそこから思い切った勝負に出たいと思う。ポップのギリギリのところで踊りまわりたい。そこに「エクスペリメンタル」という言葉が現れる。

L+A: Cascineのこれからの活気に満ちた未来に向けての計画は何かありますか?

Jeff: もちろんたくさん計画しているよ。僕らは始まったばかりだし、Cascineの核心にある美学(スタイル)に嘘をつかない音楽をリリースすることにコミットしている。もし君が今のCascineのサウンドを気に入ってくれるならば、未来のCascineサウンドも気にいるはず。また、音楽以外にもライフスタイルのブランドとして発展しようと取り組んでいるところなんだ。

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