Zoom: LLLL 『Drowned Fish』

Zoomは話題のミュージックビデオに焦点を当てて、監督やアーティストにお話を伺うコーナーです。

今回取り上げるのは今年突如ドロップされた東京の謎のエレクトロ・ユニットLLLLのデビューEP『LLLL』から映像化された”Drowned Fish”。楽曲に漂うダークで重い心象風景を、一人の少女に焦点をあてて映像化したこの作品。ビル、壁、縄跳び、花びらで満たされたバスタブ、そして地面に仰向けになる少女。どことなく死の香りも漂います。

監督の八尋南実氏にお話を伺いました。

L+M: 花びらが浮かぶバスタブ、冷ややかなアパートの一室、縄跳びなど色々なイメージが登場しますが、このビデオのコンセプト/ストーリーはなんですか?

八尋: あどけなさを失わない主人公が、閉塞的な世界の中をそのあどけなさを武器に強かに生きている。しかし現実を知った途端彼女は取り巻く世界に巻き込まれ、深みへと沈んでいく。そんな構成になっています。

L+M: 登場人物は女性一人のみですね。部屋の角でカーテンに包まれたり、なわとびをしたり、孤独を楽しんでいるようにも見えます。他のキャラクターを入れなかった理由はなんですか?

八尋: 閉鎖的な環境を楽しんでいるように見えるのは、彼女は遊びでもってそれらに対抗しているから。と捉えています。他のキャラクターを入れなかったことについては、Drowned fishの歌詞が二人称で、何者かが誰かに語りかけているところが印象的だったからです。前半は「君」を讃えながらも、後半は現実の凄惨さを説いている。

なので現実世界を知っている他でもない画面の前の皆さんに、その何者かの視点を体感してもらえたら、と思った次第です。

L+M: なわとびのシーンが印象的だったのですが、何故なわとびをいれたのですか?

八尋: どうも縄跳びという行為に、子供らしさやそれを武器にした傍若無人さというイメージを抱いているんです。
それはこのビデオにおける現実世界に対抗する為の手段でもあります。

というのも昔はやぶさや二重飛びが出来る子って周りとはちょっと一目置かれる存在だったと思うのですが、私は二重とびが出来ない子でしたから、その行為に羨望と同時に引け目があるのかもしれません。

L+M: “Drowned Fish”は何をテーマにした作品ですか?

八尋: テーマというか、ビデオを作る当初設定した雰囲気を言葉にすると「誰かに両手でゆっくり沈められる」でしょうか。

L+M: 結構な量の花びらに見えるのですが、実際どれだけ使ったのですか?

八尋: あれは結婚式で使うナイロン製のフラワーシャワーで、生花ではないんです。
あとは造花を切って使っています。小さなバスタブでしたから、膨大な量は使っていません。

L+M: どこで撮影されたのでしょうか。

八尋: 自宅と、キャンパスの所々。

L+M: バスタブの中で嘆くシーンや、女性が死んだように微笑みながら仰向けになって寝ているシーンはドキッとしてしまいました。他にも死を象徴するイメージが多く映し出されているように感じたのですが、特別なこだわりがあるのでしょうか。

八尋: 過去に作った個人的な映像作品も、冷めた色彩や、死のイメージで構成しています。物を作る時には死や生について考えざるを得ないですね。

今回のお仕事をくださったのは過去の作品を観ていただいたのがきっかけなので、そういった自分の感覚をどこまで反映させても良いのか、それがある程度掴めたことがこうした形に繋がったのかもしれません。

L+M: 撮影の秘話などあれば教えてください。

八尋: バスタブのシーンですね。素で撮ると暗くて、かといって狭い浴槽では照明を設置することが出来ない。

最終的には口に懐中電灯をくわえ、両手でカメラを持ち、足はバスタブの中をかき回すのに絶えず動かしていたのですが、今思うと滑稽ですね。

L+M: 今後別トラックのミュージックビデオ撮影の予定はありますか?

八尋: まだ未定です。LLLLさんの楽曲はとても想像をかき立てられるので、それが形になったらおもしろいな、と思っています。

LLLL- Drowned Fish from minamiminoru on Vimeo.

Connect to 八尋南実:
http://ym-2.tumblr.com/

LLLL:
http://lllltokyo.bandcamp.com/

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