Focus: Semi Precious

semiprescious_732_732

ロンドンのプロデューサーGuy BaronによるソロプロジェクトSemi Precious。The Guardian, DIYやThe Line Of Best Fitから賞賛を受けたデビューEPに続いて、今年7月Matthew Herbertをプロダクション、ミックスに迎えた新作EP『When We Talk』をリリース。ミニマリズムを極めた彼のソングライティングは美しいメロディーと繊細なサウンドが際立ち、EPを包み込む「嘘の誠実、曖昧な愛情」をテーマにしたメッセージが胸に真っ直ぐに突き刺さります。今回Lights + MusicはメールインタビューにてSemi Preciousのミニマリズムへのこだわり、Matthew Herbertのこと、そして彼が創業メンバーでもあるロンドンの新鋭レーベルSquareglassについて詳しくお話し伺いました。

Focus: Semi Precious
By Satoru ‘Teshi’ Teshima, August 30, 2015

自身の音楽を3つの言葉で表現してください。

「実験的な」「ベッドルーム」「ポップ」

音楽制作を始めようと思ったきっかけは何ですか?

長い間シンガーとして活動していたのですが、実際に作曲を始めたのはつい数年前からです。キーボードを使った伝統的な作曲もできるのですが、すぐに飽きてしまいました。それを考えると、本当に作曲を始めたのはサンプリングを使った実験を始めてからだと思います。サンプリングを使い始めたとき、作曲工程の中に強烈に本能的で、面白いものを感じました。それが僕のクリエイティビティを本格的に起動させたんです。

ミニマリズムは制限ありきです。あなたのソングライティングは、意図的にあらゆるものに縛られていますが、あなたがミニマリズムに惹かれる理由を教えてください。

選択肢が多すぎると困ってしまいます。僕は自分の作曲を簡素で凝縮されたものであると考えていて、物事が”オーガニック”に発達するのが良いことだと思っています。それはまるであらゆるものが一つ一つ明確で本質的なアイデンティティを持っているようなもの。僕の音楽は孤独や疎外感をテーマにしていて、それが音楽のまばらさや反射性を反映しているのかもしれません。僕の小さなベッドルームにあるミニマルなレコーディングセットも影響してます音楽はある意味そういうものであるべきだと思います。正面からつきつけてくる”ビッグ”なものより。

『When We Talk EP』は『嘘の誠実』をテーマにしています。その点について詳しく教えてくれますか?また何故そのような類の愛情を深堀りしようと思ったのですか?

情熱や愛情というのは曖昧で捉えどころの無いものだと感じていて、その複雑性を伝えようと思いました。このEPはコミュニケーション不足など、様々な理由から発生する「満たすことができない愛情」をテーマにしています。僕は満足できないもの、遠く離れていて、壊れてしまったものからよくインスピレーションを受けています。

Matthew Herbertとの仕事はいかがでしたか?

14歳の頃からMatthew Herbertのファンでした。本当にインスピレーションをあたえてくれる人で、何度も何度も彼の作品を聴き返し、毎回新しい発見がありました。この作品で彼のミックスとプロダクションの手法を目にすることができて大変光栄でしたし、嬉しかったです。

あなたは先進的なアーティストを集めた音楽レーベルSquareglassのレーベル創始者の一人でもありますね。Squareglassが他のレーベルと違うところは何ですか?

まず、僕たちはみんなとても近い友達で、伝統的な考え方で言う単なる「コマーシャル」なレーベルではありません。お互い信頼しあっていますし、コレクティブ(共同体)ならではの”セーフティ・ネット”があります。そこでは音楽的な実験ができ、自分のスタイルに自信を持ち、実践的にも創造性においても一人一人を応援しあうことができます。最近のシーンでは、特に小さな環境でレコーディングするベッドルームプロデューサーにとって、コレクティブは重要なものだと思います。

一番コラボレーションしてみたいアーティストは誰ですか?

Burialの音楽にとても影響を受けていて、彼とコラボレーションできたら最高ですね。”Rival Dealer”は真のマスターピース。エレクトロミュージックの境界線をあらゆる点で新たに定義付けた作品だと思います。

最後にSemi Preciousのこれからを教えてください。

バンドと一緒にライブをいくつかこなして、来年にはちょっとだけ今回よりも長く、コンセプト性が強い作品をリリースする予定です。

Connect with Semi Precious

Official
Facebook
Squareglass
Soundcloud

『When We Talk EP』は現在発売中。BandcampやiTunesから購入可能です。

このエントリーをはてなブックマークに追加

Focus: Ash Koosha

ashkoosha

イランはテヘラン出身のAsh Kooshaが当ブログに『GUUD』ミックステープを送ってきたのは今年の四月。再生ボタンを押した瞬間にめくるめく音世界が耳の中だけではなく、頭の中に広がり、ジャンルという概念をぶち壊した世界観に一瞬で引き込まれました。まさに42分の脳内トリップ。Flying Lotusとよく比較される彼の音楽は、遊び心があり自由で先がまったく想像できません。リリースされるとYoutubeの辛口音楽レビュアーThe Needle Dropが彼に注目し、高評価を下します。アメリカの名門エクスペリメンタル音楽レーベルOlde Spelling English Beeも彼の才能に注目し、Name Your Priceで再リリースされることとなりました。最近はPitchorkのBest New Musicを獲得するなど、彼に対する評価、注目はさらに加速しています。当ブログはAsh Kooshaに再アプローチし、メールインタビューで彼の独特なコンポジションスタイル「ナノコンポジション」について、音楽環境、そして夢のコラボレーションなど様々なお話を伺うことができました。最後に『GUUD』のフル視聴リンクもありますので、ぜひぶっ飛んでみてください。

Focus: Ash Koosha
By Satoru ‘Teshi’ Teshima, July 28, 2015

あなたの音楽を3つの言葉で表してください。

没入、超分子、泡状建築

あなたはもともとクラシック音楽の教養がありますが、どのようにコンピューターでの音楽制作に興味をもったのですか?

クラシックの形と構造、そして僕の人生全てを語るような柔軟性に興味をひかれました。大人になるにつれてエレクトロニック音楽にもっと触れるようになり、さらにノイズとサウンドデザインの世界を探求する必要があると感じました。それから周波数で様々なものを試すようになりました。それからどこで見つけたかわからないようなサウンドで、クラシック音楽の形態をもった楽曲を作るようになったんです。

あなたのインスピレーションは何ですか?

未来。いま10年後の自分ががどうなっているか想像しながら実験的に生きるのが好きです。

今はロンドンを拠点に活動していますね。テヘランとの生活とどのように違いますか?

一般的に生活環境が選ぶサウンドや趣向に影響を与えると言いますが、私の意見では街がわたしたちのあり方を形作るのでなく、わたしたちが街のあり方を形作ると考えています。私にとってはロンドンは世界の大きな街の一つで、ただ制限は少ないですし、ロンドンならではの特徴をもった場所ではありますね。

『GUUD』は最初から最後まで通して聴くべきアルバムのように感じました。”Bo Bo Bones”、”JamJaamJam”、”SlamSlamSlam”など遊び心をもったタイトルがならびますが、なにかアルバムに特別なコンセプトはありますか?

トラックの名前は基本的にふっと思いついたものであったり、頭の中にあったイメージをそのまま表現したものです。”JamJamJam”と”SlamSlamSlam”は両方とも三幕構成のトラックで、一つはもともと頭の中で未来から来たバンドがジャムを繰り広げているイメージがあり、もう一つは3Dモデルのスラムダンクのビデオ(※漫画ではない)を何度も繰り返し見ているときにレコーディングしたので、このような名前になりました。

アルバムを通して感じたのがジャンル、スタイル、曲構成の『形を崩す』作業が次々と行われていることでした。「ナノ・コンポジション」というスタイルを取り入れたとのことですが、それについて詳しく教えてください。

ナノ・コンポジションは私のスケールと波形に対する執着心から生まれました。ナノテクノロジーや量子的領域についての書冊をたくさん読むのですが、ある日面白いアプローチを思いつきました。音楽を物質のように扱い、サウンドを物体として組み合わせることができる空間を作りだすのです。録音してあったサンプルのピースを仕掛けてみると、サンプルから生まれた一つ一つの波形のフラクタルパターンの中に、たくさんのランダムな音の行動を発見することができました。私が作り出した音の事象にあるふぞろいのカオスをうまくコントロールしようと試しました。結果、ふぞろいのサウンドで出来た見知らぬ世界への42分間の音楽体験が生まれたのです。ジャンルに関しては、結果がどうなるかまったく想像できないため、いま存在する音楽ジャンルの構造にはめこむことはできません。

このアイディアはどのように形になったのですか?

ショパンからヴァグナーまで、私は常にクラシック音楽を聴いています。でも時々、周波数は長年私たちが親しんだ楽器に制限されていると感じます。テヘラン音楽院にいる頃にサウンドをサンプリングしてクラシック音楽の形態に流し込むことで、それを変えてやろうと思っていました。年をとるにつれて、私は頭の中の音楽を映像化しているのだと気がつきました。それからクラシック音楽にピッタリ合い、演劇風な動きと構造的に価値のあるサウンドを探すのは面白いのではないかと思いました。最近ナノテクノロジーのことを知り、僕の未来主義的な問題を解消してくれる方法を見つけるための可能性が開きました。

アルバムタイトルの『GUUD』はグッドの意味ということですが、あなたにとってグッドな音楽はどのような音楽ですか?

GUUDは不完全のグッドです。ふぞろいのランダムなものや、偶発的なもの、エラーの中に「良さ」が存在すると考えてます。なので音楽は良くも悪くもあるべきでないですし、不完全なものから感情的なインパクトを引き出すべきだと思います。もしある瞬間の中で音の激しさがインパクトを与えるのなら、それは「グッドな音楽」と呼べると思います。

あなたの夢のコラボレーションは?

ラース・フォン・トリアー。

Ash Kooshaの次のステップはなんですか?

ナノ・コンポジションと音楽体験の現象学のアイディアをさらに推し進めた新しい楽曲をいま完成させているところです。

Connect with Ash Koosha

Facebook
Soundcloud
Twitter
Olde English Spelling Bee

このエントリーをはてなブックマークに追加
Category Features, Focus | タグ: , , , , |

Focus: Honne

HONNE-Aug-2015-pic

東ロンドンを拠点に制作活動を行う、AndyとJamesによる音楽ユニットHonne。Chet Fakerを彷彿とさせる美しくソウルフルなバリトンボイスに、ムーディーなビート、そしてきらびやかなカッティングギターを組みあわせた彼らの楽曲群は、甘くアーバンな質感にあふれています。彼らの音楽を、レフトフィールドなエレクトロとR&Bを展開する、巷に溢れるJames Blakeフォロワーたちと引き離すのは、間違いなく独特の優れたソングライティング。二人とも先生として音楽を子供たちに教えているらしく、音の緻密な配置や効果的な曲構成はプロフェッショナルな知識から生まれているのでしょう。今回Lights + Musicは、自身のTatemae Recordsから新作『Coastal Love EP』のリリースを5/6に控える注目の若手デュオに、メールインタビューを行いました。「建前と本音」と日本とのつながり、結成の背景、そしてこれからの活動など、詳しくお話を伺いました。

Focus: Honne
By Satoru ‘Teshi’ Teshima, April 9, 2015

まずはじめにHonneというユニット名と、自身が運営するレーベルTatemaeについて教えてください。「本音と建前」というフレーズは日本人の我々にとって馴染み深いものです。また”Coastal Love”のアートワークには日本語の表記もありますね。あなたたちの日本とのつながりはなんですか?

James: まずはじめに「本音」という言葉を知って、その美しさに惹かれたんだ。でも意味をもっと深く調べていくうちに、この言葉が僕らバンドのこととか、楽曲のテーマをうまく包括しているような気がした。だから「本音」とのつながりをキープするのがいいと思ったんだ。シンガーのAndyもここ数年日本で時間を過ごしていて、滞在中に出会った人々や訪れた場所がとても気に入っているんだ。すぐに日本でライブができるといいんだけど。

Honneの結成の背景を教えてください。

J: Andyと僕はおよそ6年前に大学で出会った。実は大学で彼が一番最初に出会ったヤツなんだ。様々なプロジェクトで一緒に作業をしていたんだけど、そのうち二人の組み合わせがうまくいくなって気がついて、それからずっと続けているよ。

音楽制作をしたいと思ったのはいつですか?

J: 12歳くらいの時、家族がギターをくれて、ギターの弾き方を勉強するのに完璧にハマってしまったんだ。ある程度まで上手くなってからは、演奏と作曲に集中するようになった。

現在のサウンドにどのように行き着いたのですか?

J: エレクトロ・ミュージックでの制作、そしてプロダクションレベルを成長させることに、とても長い時間を費やした。最終的に独特のサウンドが生まれたと、僕たちが感じることができた楽曲が出来上がって、そのスタイルでどんどん作曲するようになったんだ。そしてHonneが生まれたというわけさ。

『Coastal Love EP』の制作について詳しく教えてください。表題曲はいままでに公開された曲とはまた違ったサウンドを繰り広げていますね。何か今までと違ったアプローチをとったものはありましたか?

J: 正直いうと、特にそういったものはなかった。”Coastal Love”の最初の部分は、ハウスミュージック寄りのドラムビートからで出来ていて、それが曲のアップビートな感じを形作ったんだと思う。”Coastal Love”の夏らしいコンセプトも、過去のもっと夜っぽいトラックからの別れと言えるかもしれない。

新作EPリリース後のHonneの活動予定を教えてください。

J: これからUKとヨーロッパで幾つかライブが予定されてるよ。できればアメリカに行って、何度かライブをしたいと思ってる。もちろん新しいリリースも待ち構えてるよ。それぞれの活動の後ろで、アルバムの制作も進めていく。すでにアイディアがまとまり始めているんだ。音楽をリリースしていくのが本当に楽しみだし、楽しいライブもしていけたらいいな。

Connect with Honne
Official Website

Twitter
Soundcloud

5/6発売の新作『Coastal Love』はiTunesより予約可能です。

このエントリーをはてなブックマークに追加
Category Focus | タグ: , , , , , , |

Hear Me Out: Dead Sea

Hear Me Outはアーティスト/バンドの自己紹介コーナーです。
10442888_1553859811517046_537355399357361996_n-700x438フランスはパリの4人組Dead Sea。自身の音楽をターボ・チルウェイブと呼ぶ彼らの音楽は、シューゲイズ、エレクトロ、IDMの要素をバランス良く組み合わせ、チルウェイブの宙に浮かぶような煌めきと恍惚感を生み出しています。またLondon Grammarを彷彿とさせるロマンティックなメロディーと、気怠くメローな歌声。疾走感を与える軽やかなビートなど、すでに確固としたオリジナルティを見せつけています。今回最新作『EP1』をリリースしたばかりの彼らに、自身の音楽についてたっぷり自己紹介をしていただきました。

Hear Me Out: Dead Sea
Introduced by Charles, March 29, 2015

Read more »
このエントリーをはてなブックマークに追加

Focus: TEEZ’FM

Photo by Nicolas Robin


TEEZ.FM
は6年前にティエリー・ヨソーが立ち上げたフランスのオンラインラジオステーション。彼らのセレクトする音楽は、Kylie MinogueやRoisin Murphy、Arcade FireからCut Copyまで、インディーとポップの塩梅がちょうどよく、さらにインタビューや楽曲の放送を通して、新進気鋭のアーティストたちの紹介に熱を注いでいます。世界中から音楽を聴きに彼らのサイトに集まるそうですが、なんと日本からの訪問者数は世界でも第5位らしいです。”We Are Pop”のスローガンのもと、世界中にハイクオリティのポップミュージックを届けるTEEZ.FMの創始者、ティエリーにお話をうかがいました。またLights + Musicのために、プレイリストも作成していただきました!当インタビューの最後からストリーミングできます。ぜひ聴いてみてください。

Focus: TEEZ’FM
By Satoru ‘Teshi’ Teshima, March. 19, 2015

Read more »
このエントリーをはてなブックマークに追加
Category Focus | タグ: , , |

Focus: Dems

Dan Mossを中心として結成したイギリスの三人組ユニットDems。彼らの作り出す音楽は、ポストJames Blakeともいえる翳りを持った涼やかなプロダクションと、SohnやHow To Dress Wellを彷彿とさせるソウル、R&Bの要素をミックスした、良質のシンセポップを展開しています。2014年には彼らが得意とする卓越したメロディーセンスにエクスペリメンタルな要素をちりばめた楽曲集『Muscle Memory』をリリース。これからの動向が注目されているグループの一つです。Lights + Musicはそんな彼らにEmailインタビューを執行しました。バンドの成り立ち、音楽制作のプロセスについて、アルバムのインスピレーション等、興味深いお話を伺うことができました。

Focus: Dems
By Satoru ‘Teshi’ Teshima, March. 11, 2015

Read more »
このエントリーをはてなブックマークに追加
Category Focus | タグ: , , , , |

Hear Me Out: Bernholz

Hear Me Outはアーティスト/バンドの自己紹介コーナーです。

イギリスはブライトンを活動の拠点とするアーティストJez Bernholzは、彫刻家、ミュージシャン、コンポーザー、そして映像作家と幅広い才能を持つアーティストです。彼の音楽プロジェクトBernholzが奏でる音楽はシンセサウンドを基準としたエクスペリメンタル・ポップ。2012年にリリースしたデビューシングル”Austerity Boy”はマドンナの”Material Girl”をサンプリングし、音楽評論家、そしてリスナーから高い評価を獲得。BBC等、プレスからのサポートも厚く迎えられました。

制作に二年費やしたというデビューアルバム『How Things Are Made』が9月29日にブライトンのレーベルAnti-Ghost Moon Ray (Gazelle TwinやAcquaintanceが所属する)からリリースされます。このアルバムはBernholzがリスペクトするケイト・ブッシュの”Hounds Of Love”やデイヴィッド・ボウイの”Low”など、彼が賞賛を惜しまない音楽史に残る名盤へのリスペクトを感じさせる、傑作シンセポップアルバム。今回のインタビューではプロジェクトがどのように始まったか、彼の音楽ヒーローたち、彼の映画的広がりを持つサウンドの秘密などたくさん語っていただきました。またアルバムから”What You Want To Do”を当ブログで世界初プレミア!是非耳を傾けてみてください。

背景
僕はYamaha Portasound PSS-170を使って初めて作曲を学んだんだ。他の作曲方法に方向転換しても、その経験がまだベースになってる。このプロジェクトは前のプロジェクトが解散してから始めたもので、また再び一個人としてのアイデンティティを見つける長いプロセスの始まりでもあった。過去に作った幾つかの4トラックのアイディアを、意識の流れを通して集め、そこが出発点となった。僕はつねに音楽を、彫刻やフィルムを制作するにして向き合いたかった。すべてのプロセスを一塊にしたかったんだ。昔は作曲というのは別々の独立した存在だと思ってた。でも、Bernholzというプロジェクトを芸術的に完全な形で実現できるものだと気がついたんだ。

サウンド
サウンドは様々なソースを組み合わせたもの。プログラミングされたエレクトロニクスやテープの録音のループから、発見した音色や重厚に和声をつけたボーカルまで色々だ。そこから完成した楽曲はアンビエントで映画のような表現を、もっと伝統的なポップミュージックに対して与えている。僕はインテリっぽい聞こえ方とそうでない聞こえ方の境界線をあやふやにさせるものをやってみたかった。期待に従うこと無く、同じ瞬間にいくつかの要素を見せる音楽にとても興味を持ってる。なるべく多くの違ったソースから録音を行うことを目標にしてる。あらゆる種類の断片を抽象化したり、結びつけたりして、すべてがうまくいくように頑張ってるんだ。

インスピレーション
多過ぎて答えられないなあ、常に変わり続けてるし。その中でも、ブルース・ナウマン、リチャード・ディーコン、ジャン・ロレンツォ・ベルニーニといった芸術家の作品、チャーリー・チャップマン、バスター・キートンの映画作品、音楽ではケイト・ブッシュとデイヴィッド・ボウイ。生活では、パッと見は些細で、偶然おこる毎日の出来事、その失敗談にどこか勇ましさが見え隠れするようなものにインスパイアされてる。あとはだだ草に設置された家具とか、情熱的だけどチグハグな構成の子供の話とかかな。

I’m very interested in music that reveals several elements simultaneously, without ever conforming to expectations.

お気に入りのバンド/アーティスト
いっぱいいすぎるし、候補はエンドレスだよ!さっきも言ったけれど、ボウイ、ブッシュ、プリンス、ローリー・アンダーソン、デリア・ダービーシャー、スティーヴ・ライヒ、マーヴィン・ゲイ、マンサン、ザ・ナイフ。最近ではジュリア・ホルター、ファクトリー・フロア、コリン・ステットソン。もっとたくさんいるんだけど、たくさんの名前を並べるだけになるからこの辺でやめておくよ。

シークレット
実はライオネル・リッチーの”All Night Long”は史上最強のポップソングだと思ってる。

Hear Me Out
What You Want To do’。この曲はアルバムがどのようにして作られたかを象徴する良い例なんだ。差し迫った感覚のループとドローンの即興演奏から始まり、それが素早くベースパートからなるコード進行へ変化する。この曲のベースは僕が気に入っている要素だ。とても流暢に書かれた曲で、マントラ調の歌詞を含め、ベーシックなテンプレートは一発で出来た。歌詞はとてもパーソナルなもの。僕はかなり自己不信に陥るタイプで、自分にもとても厳しい。無情に過ぎて行く時間を心配し、人生に対するプレッシャーが積み重なって行く。そういう収まらない感情を休めるために、自分に言い聞かせているんだ。”It’s not too late to do what you want to do.(自分のやりたいことをするのにまだ遅くはない。)”。この曲を聞き返すと、そうやって自分に言い聞かせて良かったなと思う。リスナーもこの気持ちを心に留めてくれたら良いなと思ってる。曲中には他のアルバムにも再度現れるモチーフが登場し、繰り返しきくことで、夢のような効果をリスナーにもたらすことになる。自分が以前経験した記憶の断片を思い出させるような。

10月と12月はヨーロッパをツアーして回る予定。とても楽しみにしてる。あるばむをやっとリリース出来てとても嬉しいし、世界中の人が僕の音楽を聞いてくれるのも嬉しい。リリース形態もCDだけじゃなくて、彫刻でもリリースするんだ。とても誇りに思ってる。石膏で出来たリミテッドエディションは自分で壊さないと聞くことが出来ないんだ。

リンク
Anti-Ghost Moon Ray

Official Website
Soundcloud
Facebook

Bernholzのデビューアルバム『How Things Are Made』はAnti-Ghost Moon Rayから9月29日にリリース。予約はこちらから

このエントリーをはてなブックマークに追加

【特集】Meishi Smileが選ぶ「わたしの日本」

J-popシューゲイズプロデューサー、そしてアメリカでカルト的な人気を誇るZoom Lenseの主宰を務めるMeishi Smileが今年の五月日本ツアーを行いました。アニメやJ-pop等日本の文化にインスパイアされた彼の音楽は、J-popシューゲイズ・エレクトロとも形容されています。デビュー作『Lust』は煌びやかで、どこか毒々しく、彼の日本に対する愛情、そして純粋でまっすぐな視線が伝わってきます。

今回の特集ではMeishi Smileに彼の日本の好きな所を5つ語ってもらいました。ちなみにFaderでは彼がツアー中に撮り溜めた写真集とツアーダイアリーが掲載されてます。こちらもチェック

Read more »
このエントリーをはてなブックマークに追加

Focus: Oscar Key Sung

今月5月31日に恵比寿のリキッドルームで開催させれるオーストラリア音楽ショーケースでの主演も決定しているメルボルンを拠点に活動するインディー・エレクトロ/R&Bアーティスト、Oscar Key Sung。近未来的な世界観と表情豊かなボーカルをコラージュのように重ね、独特のソウルを生み出しています。今回当ブログではメールを通じて、この間リリースされたEP『Holograms』(国内盤もP-Vineから配信中です)ばかりの彼にフォーカス。オリジナルな世界観がどのようにして出来上がったのか、インスピレーション、そして現在の音楽業界に対するアイディアなど、彼の素顔に迫りました。

Interview: Oscar Key Sung
By Satoru ‘Teshi’ Teshima, May. 11, 2014

音楽を作り始めたのはいつ頃からですか?

五歳くらいのときから作曲を始めました。Jackson 5に居た時の若いマイケル・ジャクソンに夢中だったんです。そのくらいから音楽を作って遊んでたりしましたね。一人っ子でしたから…。それで時間を過ごすことができました。色んな小学校に移っていたので、毎回休み時間はその学校に合った違った楽器を使って遊んでました。そこから何でも屋(マルチ・インストゥルメンタリスト)になっていったんだと思います。

あなたのインスピレーションはなんですか?それをどのように曲に仕上げますか?

最近はコンテンポラリーなSF映画のトレイラー映像や90年代の日本アニメにインスピレーションを受けています。この間の夏をシドニーで過ごし、そこで盛り上がるダンスカルチャーを経験しました。とても素晴らしく思いましたし、わたしの最近の楽曲にも影響を与えています。メロディー面ではPevinn Everett, Craig David, TinkやDonnel Jonesにつねにインスピレーションを受けてます。

『声』はとてもインスピレーショナルなものだと感じています。特に声をサンプルやキーボードで操作するのは”Key Sung”プロジェクトにとって不可欠なものです。大抵は自分の声をサンプリングしていますが。わたしはつねに一つの歌を思い描いたり、思い描くように意識しています。そうするとゆっくりと、インスピレーションのかけらを集めながら一つのものになっていきます。物語とリリックの関係はわたしが納得するように繋がっていなければならない。ですから、グルーヴや編曲を始める前に、曲は大分前から仕上がっていることが多いです。

“It’s Coming”と”All I Could Do”は同じようなネオ・ローマ調のアート性を備えてますね。これは意図的なものですか?

わたしはどちらかというと両ビデオとも「古代・未来的」なアート性を共有していると思います。”All I Could Do”は確かにもう少しローマ調ですね。SF映画やアトランティス文明等の古代神話にあるパラレルな現実性がどことなく有機的なテクノロジーを持っているというアイディアにインスピレーションを得ています。未来的な習慣と古代的な習慣の双方に満たされた世界のことです。わたしとビデオのヴァイブに非常に貢献したディレクター、Tristanでお互いの夢や芸術性について長い時間話し合い、このようなタイプのイメージに対し同様の興味があるということに気がつきました。

“All I Could Do”という曲は、部分的に絶対的な輪廻と、自分が常に同じ輪を回っているのに前へ進もうとする目的の無い行為について歌っています。”AICD”というビデオの制作アイディアを練っているとき、ホルヘ・ルイス・ボルヘスの『Labyrinths (ショートストーリー集)』を読んでいました。”The Immortals”という短編にビデオのインスピレーションを得ています。不死の人々によって建てられた、実際にはあり得ないような建築物の美しいイメージに溢れていて、彼らの時の過ごし方の経験が描き出されています。わたしはそれをTristanに説明し、彼とReuben (3D効果を作った人です)がそれを表現してみせました。

あなたはすでに多くのアーティストにビートを提供していますね。自身はプロデューサーかシンガーかどちらだと思いますか?

面白く聞こえるかもしれませんが、わたしは自分のことをただのクリエイティブな人間と思っています。音楽に対しては、洗練されたアーティストのように色んなメディアを用いて接近したいと思ってます。ただ一つのことに打ち込んではいられません。それはきっと嫌になります。

あなたのライブからは何を期待出来ますか?

たくさんのベース音、そしてそこに潜んだエロティシズム。いまはライブセットにMidiのギターを組み入れようと作業中です。

あなたは自身のBandcamp上で自分の素材を多く「Name Your Price (投げ銭式)」で提供していますね。インディー畑で活動するアーティストにとって、現在の音楽業界についてどうお考えですか?

わたしがフリーで提供しているのは大抵はすべて自分で手をかけたものです(アート・作曲・録音・ミックス・マスタリング含め)。もしレコーディング・スタジオなどに大量のお金を費やしているなら、お金を求めてもフェアだと思いますけどね。でも時間以外にオーバーヘッドするものが無ければ、無料で提供するのも気楽ですし、ナイスだと思います。プレッシャーがかかるようなものでもないですし。時には音楽はアイディアのように無料で入手可能なものであるべきと考えることもあります。でも音楽がインフラストラクチャーの一つで、それで稼がなければならない人がいるという良さも分かります。すごい難問ですよね。この先十年どう業界が変わって行くかとても気になってます。

リンク:

Twitter
Facebook
Bandcamp

オーストラリア音楽ショーケースの詳細はこちら

このエントリーをはてなブックマークに追加
Category Focus | タグ: , , , , |

Live Report: Predawn

Photo Credit: Takanori Kuroda

Live Report: Predawn
By 黒田 隆憲, April 29, 2014

シンガー・ソングライター清水美和子のソロ・プロジェクト、Predawnがプラネタリウムを会場にして、東京と大阪の2カ所でライヴをおこなった。のべ3公演はどれもソールドアウトになるほど盛況で、改めて彼女の人気の高さを実感。幸運にも筆者は、東京(北とぴあ “スペースゆう” プラネタリウム)の初日、大阪(ムーブ21 プラネタリウム)と2回鑑賞する機会を得ることが出来た。

東京会場は、半円形ドームのフロア一角にカーペットが敷かれ、その傍らにはグランドピアノと2本のアコギ、それからライトスタンドが並べられている。まるで自宅のリヴィングに通されたような、いつものライヴハウスとは全く違った雰囲気。プラネタリウムということもあって、リクライニング式の椅子はゆったりとしてて座り心地も抜群だ。ほどなくして照明が落ちると、いつものように清水が登場。アコギを抱えてライヴがスタートした。前半はNYの街並みや、どこかの植物園で写したと思しき写真がドームの壁に大きく投影される。少々画像が粗かったのは残念だったが、中盤からはいよいよプラネタリウムの出番だ。譜面などを照らすため、清水の手元のライトがほんのり灯っている以外、辺りは真っ暗闇となり、天上をあおぐと投影機によって映し出された星々が、静かにまたたいている。すると、先ほどまで聴いていたPredawnの楽曲たちが、全く違う響きとなっていることに気づいた。例えば、部屋の灯りを真っ暗にして音楽を聴いたことがある人なら、この感覚を分かってもらえるはず。視覚を遮られたことによって聴覚が敏感になり、清水の歌声や息づかい、アコギを爪弾くニュアンス、メロディの豊かさが、まるで細胞の隅々にまでダイレクトに染み渡っていくように感じられたのだ。

あれからおよそひと月後、再びあの感覚を確かめるため大阪へ。グランドピアノこそなかったものの、カーペットが敷かれた小さなステージには、アコギ2本とキーボードが並んでいた。今回は写真のスライドはなく、1曲目の「Over The Rainbow」が終わるとすぐに暗転し、星々がまたたく中で「Lullbay From Street Lights」が演奏される。星の数もおそらく東京より多く、じっと見つめていると、本当に降り出してくるんじゃないかという気さえしてきた。後半は東京と同様にRayonsこと中井雅子も登場し、ジャジーにアレンジされた「Milky Way」が演奏されると天上には大きな天の川が。清水がビョークばりのヴォーカルを聴かせるRayons作の「Waxing Moon」では満月がぽっかりと浮かび、無数の流れ星がヒュンヒュンと飛び交うなど心憎い演出も随所にしのばせている。

Rayonsとの共演では見どころの1つ、まるでコリーヌ・レイ・ベイリーとハーヴィー・ハンコック共演を彷彿とさせる「Blackbird」のカヴァーも、相変わらず絶品。アンコールではさらに、ディズニー映画『塔の上のラプンツェル』の主題歌「I See The Light」を、アコギ1本でドリーミーにカヴァーしていた。楽曲のクオリティの高さには、いつもながらため息の連続。「Tunnel Light」や「Keep Silence」「Sheep & Tear」など最新アルバム『A Golden Wheel』に収録された曲は、すでに様々な楽器が重ねられたアレンジに慣れ親しんでいるはずなのに、こうして久しぶりにアコギ1本で聴いても物足りないどころか、まだまだ新たな発見があって驚くばかりだ。新曲もいつの間にか増えていて、とりわけジュディ・シルを彷彿とさせる「Don’t Break My Heart」は、Predawnの新たな代表曲となる可能性大。早くも次のアルバムが待ち遠しくなってきた。

清水はMCで、「プラネタリウムと夢は似ている」と話していた。「どちらも“ニセ物”なのだけれども、それは現実にあったことや、実在する(していた)ものを投影(反映)している」と。聴き手の感情を引っ張りだすような彼女の歌を聴きつつ、書き割りの夜空を見上げていると、確かにそこでまたたく星々は自分の“喜び”や“哀しみ”の投影なのではないかという気さえしてくる。夢の中で、自分の感情全てに包まれているような、優しくも切なく、そして懐かしい気持ち……。それはきっと、本物の夜空の下では味わえないものなのだろうし、夢と現実、生と死の“未明”を漂うようなPredawnの曲だからこそ、その感覚を心地良く感じられるのかも知れない。

Predawnほどプラネタリウムが似合うアーティストはなかなかいないと思う。この企画、是非これからも定期的に開催して欲しい。

リンク:
オフィシャル
Facebook
Twitter

黒田氏が去年行ったPredawnのライブレポートはこちら

Predawnと行ったインタビューはこちら

Predawnの最新作『A Golden Wheel』iTunes、または全国の各レコード店でお買い求めいただけます。

このエントリーをはてなブックマークに追加
Category Features | タグ: , , , , |