Live Report: Predawn

Photo Credit: Takanori Kuroda

Live Report: Predawn
By 黒田 隆憲, April 29, 2014

シンガー・ソングライター清水美和子のソロ・プロジェクト、Predawnがプラネタリウムを会場にして、東京と大阪の2カ所でライヴをおこなった。のべ3公演はどれもソールドアウトになるほど盛況で、改めて彼女の人気の高さを実感。幸運にも筆者は、東京(北とぴあ “スペースゆう” プラネタリウム)の初日、大阪(ムーブ21 プラネタリウム)と2回鑑賞する機会を得ることが出来た。

東京会場は、半円形ドームのフロア一角にカーペットが敷かれ、その傍らにはグランドピアノと2本のアコギ、それからライトスタンドが並べられている。まるで自宅のリヴィングに通されたような、いつものライヴハウスとは全く違った雰囲気。プラネタリウムということもあって、リクライニング式の椅子はゆったりとしてて座り心地も抜群だ。ほどなくして照明が落ちると、いつものように清水が登場。アコギを抱えてライヴがスタートした。前半はNYの街並みや、どこかの植物園で写したと思しき写真がドームの壁に大きく投影される。少々画像が粗かったのは残念だったが、中盤からはいよいよプラネタリウムの出番だ。譜面などを照らすため、清水の手元のライトがほんのり灯っている以外、辺りは真っ暗闇となり、天上をあおぐと投影機によって映し出された星々が、静かにまたたいている。すると、先ほどまで聴いていたPredawnの楽曲たちが、全く違う響きとなっていることに気づいた。例えば、部屋の灯りを真っ暗にして音楽を聴いたことがある人なら、この感覚を分かってもらえるはず。視覚を遮られたことによって聴覚が敏感になり、清水の歌声や息づかい、アコギを爪弾くニュアンス、メロディの豊かさが、まるで細胞の隅々にまでダイレクトに染み渡っていくように感じられたのだ。

あれからおよそひと月後、再びあの感覚を確かめるため大阪へ。グランドピアノこそなかったものの、カーペットが敷かれた小さなステージには、アコギ2本とキーボードが並んでいた。今回は写真のスライドはなく、1曲目の「Over The Rainbow」が終わるとすぐに暗転し、星々がまたたく中で「Lullbay From Street Lights」が演奏される。星の数もおそらく東京より多く、じっと見つめていると、本当に降り出してくるんじゃないかという気さえしてきた。後半は東京と同様にRayonsこと中井雅子も登場し、ジャジーにアレンジされた「Milky Way」が演奏されると天上には大きな天の川が。清水がビョークばりのヴォーカルを聴かせるRayons作の「Waxing Moon」では満月がぽっかりと浮かび、無数の流れ星がヒュンヒュンと飛び交うなど心憎い演出も随所にしのばせている。

Rayonsとの共演では見どころの1つ、まるでコリーヌ・レイ・ベイリーとハーヴィー・ハンコック共演を彷彿とさせる「Blackbird」のカヴァーも、相変わらず絶品。アンコールではさらに、ディズニー映画『塔の上のラプンツェル』の主題歌「I See The Light」を、アコギ1本でドリーミーにカヴァーしていた。楽曲のクオリティの高さには、いつもながらため息の連続。「Tunnel Light」や「Keep Silence」「Sheep & Tear」など最新アルバム『A Golden Wheel』に収録された曲は、すでに様々な楽器が重ねられたアレンジに慣れ親しんでいるはずなのに、こうして久しぶりにアコギ1本で聴いても物足りないどころか、まだまだ新たな発見があって驚くばかりだ。新曲もいつの間にか増えていて、とりわけジュディ・シルを彷彿とさせる「Don’t Break My Heart」は、Predawnの新たな代表曲となる可能性大。早くも次のアルバムが待ち遠しくなってきた。

清水はMCで、「プラネタリウムと夢は似ている」と話していた。「どちらも“ニセ物”なのだけれども、それは現実にあったことや、実在する(していた)ものを投影(反映)している」と。聴き手の感情を引っ張りだすような彼女の歌を聴きつつ、書き割りの夜空を見上げていると、確かにそこでまたたく星々は自分の“喜び”や“哀しみ”の投影なのではないかという気さえしてくる。夢の中で、自分の感情全てに包まれているような、優しくも切なく、そして懐かしい気持ち……。それはきっと、本物の夜空の下では味わえないものなのだろうし、夢と現実、生と死の“未明”を漂うようなPredawnの曲だからこそ、その感覚を心地良く感じられるのかも知れない。

Predawnほどプラネタリウムが似合うアーティストはなかなかいないと思う。この企画、是非これからも定期的に開催して欲しい。

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Live Report: Predawn


Photo Credit: Takanori Kuroda

Live Report: Predawn
By 黒田 隆憲, July 28, 2013

今年3月に待望のファースト・フル・アルバム『A Golden Wheel』をリリースした、Predawnこと清水美和子のワンマン・ライヴが、6月30日に新代田FEVERにておこなわれた。チケットはかなり早い段階でソールドアウトとなり、会場には20代の男女を中心に幅広い世代のファンが駆けつけていた。開演時刻18時半を10分ほど過ぎた頃に客電が落ち、アルバム冒頭を飾る「JPS」のグロッケンシュピールが流れる中、ベースとドラムを引き連れ清水が登場する。これまでにも何度かバンド編成によるライヴを披露してきたPredawnだが、ライヴの1曲目から「弾き語りではない」というのは、おそらく初めてのことではないだろうか。「基本的にあまのじゃく」(「CINRA」インタビュー)を自称する彼女らしい、(早くも)こちらの期待を心地良く裏切る展開には思わずにやりとしてしまう。

アレンジも、あくまで「アコギとうた」を基軸としながらリズム隊がそっと支えるような、アルバムに準じた楽曲もあれば、エレキギター(フェンダー Telecaster)を抱えた清水がヘッドバンキングしながらリフやソロを弾きまくる、アグレッシヴな楽曲までヴァラエティに富んでいる。極めつけは前作『手のなかの鳥』収録の〈Apple Tree〉で、中期ビートルズばりに動き回るベースラインとハネたドラミングによって、全く別の曲に生まれ変わっていた。筆者はこれまで「清水美和子が1人で作り上げる世界観こそが、Predawnの真骨頂」と思い続けてきたが、今日のバンド・アレンジを聴いて「これは考えを改めるべきだな」と強く感じた次第である。

途中でサポートの2人が退場し、いつもの「アコギとうた」で数曲演奏した後、およそ10分間の休憩。BGMには、ちょうど10分近い長さの(正確には8分22秒の)、ビートルズ〈Revolution 9〉を流すという心憎い演出もあった。後半はRayonsこと中井雅子もピアノで登場し、チェロ奏者と3人で〈Blackbird〉(またしてもビートルズ!)のカヴァーからスタートする。これがまた素晴らしく、現代音楽とジャズとソウルをミックスしたようなアレンジに、終始鳥肌が立ちっ放しだった。他にも清水がヴォーカルで参加した Rayons作の名曲中の名曲〈Halfway〉(『After The Noise Is Gone』収録)や、ビョークばりのヴォーカルを聴かせる〈Waxing Moon〉(『Projection』)を披露。ベースとドラムが加わってのPredawnによるラグタイムなナンバー〈Custard Pie〉(『手のなかの鳥』収録)と、豪華な共演に酔いしれた。

もちろん、いつもの“美和子ワールド”も全開。トランペット・ソロは緊張し過ぎたのかグダグダだったり、「こんなチビのために、こんなに集まってもらって すみません」とか、「あの、終電ない人は遠慮なくお帰り下さい」とか相変わらずMCは自虐ネタ満載だったり、最初から最後まで“緊張と緩和”が入り乱れ、息をつく暇も(?)なかった。他にもベルギーのバンド、Marble Soundsと共作した〈Sky High〉や、アルバム未収録の新曲までたっぷり演奏。およそ2時間に及ぶステージは、これまでのPredawnの集大成であり、同時に次なる展開を予感させるものでもあった。彼女の更なる飛躍にも期待大だ。

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Interview: Predawn

Photo by Takanori Kuroda

木漏れ日のように穏やかで優しく、それでいて凛とした佇まいを感じさせる女性シンガー・ソングライター、Predawnこと清水美和子が、7曲入りミニ・アルバム『手のなかの鳥』からおよそ3年ぶりとなるファースト・フル・アルバム『A Golden Wheel』をリリースした。すでにライヴでは何度も披露している、ファンにとってはお馴染みの曲たちが様々な楽器やSEによって彩られ、新たな生命を吹き込まれて並んでいる。しかも、全ての作詞作曲はもちろん、楽器演奏からレコーディング、ミックスに至るまで全て1人でおこなったというのだから、その類稀なる才能には驚かされるばかりだ。

彼女の曲はよく、「癒し」という言葉で語られることが多い。しかし、「絶望」の中から「希望」の光を見出すような歌詞の世界や、心のひだにしみわたるメロディそして歌声にはむしろ、ヒリヒリとした「痛み」を伴っているように思う。それは、しばしば比較されるノラ・ジョーンズよりは、彼女がフェイヴァリット・アーティストとして挙げているスパークルホースことマーク・リンカス(2010年に自殺)に近いものを感じるのは筆者だけではないはずだ。

聴き手の「悲しみ」を包み込むのではなく、そっと寄り添い、優しい眼差しを投げかけてくれる全11曲。6月30日、新代田FEVERでのワンマンライヴを控える彼女に、そんな新作について語ってもらった。

Interview: Predawn
By 黒田隆憲, April 28, 2013

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Guest: Predawn

ゲストはアーティストにお気に入りのものを紹介して頂くコーナーです。

今回のゲストは、東京を拠点に活動する女性シンガーソングライター、Predawn。美しいアコースティックな音世界と、創造性に溢れたストーリーテリングで、多くの人々を魅了しています。現在新作『A Golden Wheel』を率いたリリースツアー”A Golden Wheel Release Tour”で全国を駆け回る彼女に、今お気に入りのあれこれを伺いました。

ぶっ飛びのお気に入りミュージックビデオ、お気に入りの映画、カフェ、最近買ったアイテムなど、前作に引き続きセルフレコーディングで制作されたという『A Golden Wheel』を紐解く答えが、ここには隠されているかもしれません。

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