Focus: SHIPS

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今回は、アイルランド、ダブリンのシンセポップデュオSHIPS(シップス)にフォーカス。SHIPSは2012年にSimonとSorcaで結成。2012年からシングルを精力的にリリースし続け、ついに今年の5月1日にデビューアルバム『Precession』をリリースします。アナログシンセの音とドラムの抜け感が気持ち良いシングル”All Will Be”に、もったりとしたシンセが蜃気楼のように漂うスペースポップ”Another Way”、複雑に音の要素が絡みあうサイケシンセポップ”Round and Round”など、バラエティー豊かに、カラフルに彩られたトラックが9曲収録されています。今回「学び」にインスパイアされたというこのアルバムのコンセプトについて、深く突っ込んでみました。

Interview: SHIPS
By Satoru ‘Teshi’ Teshima, May 1, 2017

こんにちは、調子はどうですか?

はじめまして。万事いい感じです。今日はありがとう。

インタビューのときは必ず聞く質問なのですが、SHIPSを三単語で表現してみてください。

Sorca: 三つ?ちょっと難しいね。Simon、何かある?
Simon: 経験的記述で答えると、『二人組』『接尾辞』『旅』、かな?

それぞれ何を担当しているのですか?

作曲は二人一緒に、時々別々に。ダブリンにある自分たちの家でレコーディングをしてる。二人とも歌ったり、いろんな楽器を弾いたりするのが好きだから、一緒に座ってアイデアをシェアするのがちょうどよくって。それから実際にやってみる。夕食は順番に作るよ。

セットアップは何ですか?

屋根裏部屋に小さなスタジオのセットアップを設置してる。居心地がよくって、日光がたくさん入るよ。シンセサイザーにベースギター。あとはエレキギターに、変わった楽器をいくつか。ミックスも録音もパソコンで。

音楽活動は2012年から行っているようですが、そのはじまりを教えてください。

初めて会ったとき、音楽好きということですぐに気があって、そこから全てが始まったよ。そこからずっと一緒に音楽を作り、パフォーマンスをしている。何枚かシングルを出した。それぞれかなり違うけど、いろいろなアイデアを試していたという感じかな。

そして五月、ついにアルバムをリリースとのことですが、デビューから長かったですね。

自然なタイミングでリリースしたかっただけだよ。急がずに、準備ができたときにリリースしたかったんだ。

デビューアルバムのタイトルは『Precession』。この作品はあなたが過去学んだこと、そしてこの先学ぶことにインスパイアされていると言います。このコンセプトへはどのようにたどり着いたのですか?

人生で経験することのほとんどは、輪を描くように、あらゆる繰り返しで出来ている。私たちは輪の一部。経験、感情だけでなく、地球、宇宙、世界をもって繋がっている。なんども同じことを繰り返すことの美しいところは、毎回過去から学んだことを活かすチャンスが与えられるということ。毎回違う風に挑むことで、一秒一秒を無駄にせず、新しい何かを学ぶことができる。

それはトラックにどのように反映されていますか?

それぞれの曲は、学びを手にしたことを歌にしている。自己発見だけでなく、普遍的に人間であることをテーマにしてるんだ。それは実際の経験から直接生まれたものでもあり、抽象的なものも、話の筋もない。正直で透過的と言えるかもしれないね。

何かを学ぶことで、もっともっと知ることがあると気付かされますよね。

その通り!開けたドアの先はまた違うドア、なんていうのは時に嫌な気持ちになるかもしれない。でもそれってとっても面白いことなんだ。

あなたが音楽に信じることはなんですか?

音楽は言語や理解を超えて、力強く感情を喚起させるもの。音楽はあらゆる人が楽しむことができる。

SHIPSのこれからを教えてください?日本ツアーは?

日本でツアーできたらいいね。君たちの自然へのリスペクトや地球とのつながりにとっても惹かれているんだ。ぜひ日本で音楽を鳴らしてみたいよ。

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Focus: Joel Porter

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ノースダコタ州出身のソングライター、Joel Porter (ジョエル・ポーター)。彼の新曲”St. Anthony“を聴いて、その静謐な世界観と美しすぎるソングライティングに恋に落ち、メールで突撃インタビューをしました。先日リリースされた新作EP『Mountain Twin EP』は、アカペラあり、正統派なフォークソングあり、壮大なバラードありと、4曲ながらバラエティに富む作品で、比較するならばBon IverミーツSufjan Stevensといった感じ。しんしんと雪が降り積もる荒涼とした大地と、清々しい清流、荒々しい山肌を感じさせる音楽性が、聴く人の心にグサッと突き刺さります。果たして彼はどんなアーティストなのか、下のサウンドクラウドから音楽を聴きながら、確かめてみてください。

Interview: Joel Porter
By Satoru Teshima, March 12 2017

インタビューの際は全てのアーティストにこの質問をしているのですが、あなたの音楽性を三単語で表してみてください。

– アンビエント、誠実、美を追求

あなたはいまどこにいますか?

テネシー州ナッシュヴィルのベッドルームにいます。

子供の頃から音楽好きでしたか?どうして音楽で自己表現をしようと思ったのですか?

はい。母は素晴らしいシンガーで、父も才能とインテリジェンスに長けた作曲家です。EPに収録の”Winter Coat”は、実は全員で仕上げた曲です。「お父さんと書いたんだ」って言えるのって、素敵じゃないですか?私にとってとても特別な一曲になりました。

4歳のときにヴァイオリンを習い、小学五年生でフレンチホルンを、6年生でベース・ギターを習いました。高校のときに、初めて作曲の楽しさに目覚めました。私は自分の曲を、ある一定のタイムフレームに関連付け、成長するにつれて発見した「小さな真実」を映し出します。私が音楽を通して自己表現をするのは、会話を通してよりも、音楽で伝えた方がそういった小さな真実や思い出を、うまく表現できると気がついたからです。

あなたが自分の「歌声」をどのように発見しましたか?いまの歌唱スタイルにはどのようにたどり着きましたか?

父が作った子供会の合唱隊で6歳か7歳頃からずっと歌い続けています。そのとき自分の声がどんなところでフィットするのか初めて気がつきました。この経験が自分の声の強みを物語っていると思います。別に無理して何者にもならなくていいということが分かったからです。私の作る音楽は、私の声が生きる場所です。柔らかく、誠実で、ときに痛みをもたらし、ときに気持ちを高揚させる。そして全体を通して、親密であるということ。Foreign Fieldsというバンドの片割れで友達のエリックの助けを借りながら、このスタイルを完成させています。

あなたが尊敬するシンガーはいますか?

ボーカリストは特に思いつきませんが、アーティストやバンドなら。Sufjan Stevens, Bon Iver, Asgier, Foreign Fields, Connor Youngblood, Death Cab for Cutie, Coldplayのアトモスフェリックなサウンドは素晴らしいですね。オーケストラや合唱にもインスパイアされます。

最近デイヴィッド・バーンのTedTalkのプレゼンテーションを見ました。そこで彼は環境によって生まれる音楽が変わることを説いていたのですが、あなたのプレス写真を見ると、自然に囲まれた環境で音楽を作っているようですね。あなたの場合もやはり環境が音楽制作に影響を与えているのでしょうか。自然が重要なファクターとして働いていますか?

全くその通りです。私はノースダコタ州のビズマルクというところで生まれ育ちました。中西部の川の近くです。夏は丘が金色に輝き、冬の間は雪の平原が支配する場所です。永遠が垣間見得るような、そんなところです。開かれた自然が私の作曲を刺激し、心をオープンにするためにも、できるだけ帰郷するようにしています。

また山の中で長い時間を過ごすようにしています。山の文化だけでなく、山の景色も愛しています。孤独ながらも、そこで出会う人々やコミュニティも私を満足させますし、社会的地位よりもいかに人として成長できるかが重要とされています。常に美を求め続けることは、素晴らしい人生の生き方だと思いますし、確実に私が作る音楽に生きる思想や考えにも影響を与えています。

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あなたのエモーショナルなソングライティングや細部にまでこだわった緻密なサウンドスケープに惹かれました。あなたの作曲のプロセスを教えてください。

曲によって毎回異なるのですが、私は特にメロディから曲作りを始めます。それからどのように曲を成り立たせるか、どうすればパーソナルな方法でアプローチできるかを追求していきます。もしそれが誠実で美しいものであれば、それが正解なのでしょう。そのあとは一つの美しいアイディアとして完成するまで、音を追加したり、余計なものをそぎ落としたり。それをエリックに渡し、スタジオで仕上げます。新作EPはドラム以外は二人で完成完成させました。エリックの助けなしにはこの作品を次のレベルに引き上げてくれました。私の作曲とメロディ作りだけでなく、彼のプロダクションと助けももこの作品の大切なアイデンティティの一部です。私がやりたいと思っていることを汲み取り、さらに良いものにしてくれる。彼は素晴らしい才能の持ち主です。

“I’m sick of writing songs that my father cry” (父親を泣かせる曲を書くのはもううんざりだ)という、”St. Anthony”の一節が非常に心に残っています。あなたの歌は事実に基づくものですか?

その歌詞は実際に私と父親との会話からインスパイアされたものです。全体的に、私の歌はフィクションとノンフィクションの組み合わせと言えるでしょう。私の書く曲は必ずとこかにパーソナルな物語が秘められています。実際の体験から次々とレイヤーを重ね合わせていきます。そのため、最終的に自伝的なものになる。美しく、面白みのあるイメージやメタファーに包み込まれていますが。

新作『Mountain Twin EP』について、もう少し詳しく教えてください。このEPにテーマはありますか?

制作の開始からマスタリング作業にいたるまで、約一年間を費やしました。このEPのテーマは『発見』。私たちが経験する失敗や冒険、私たちの心が安まり、動き回ることができる物静かで孤独な、開かれた場所。そして思い出。それらの要素をかき集め、一つのアイデンティティとして編み上げる。それは自分の成長物語でもあり、可能な限りベストな自分でいることも大切なテーマですね

最後に、アーティストとして自分の人生のゴールを達成するために、あなたが信じ続けるものはなんですか?

真実を追い続けることを決してやめないこと。そしてこれからも成長し続けることです。限られた人生を無駄にしたくはありません。美しい人生にむかって走り続ければ、後悔はしない。可能な限り愛し続けること。それが私の究極的なゴールです。

『Mountain Twin EP』フル試聴

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Focus: Semi Precious

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ロンドンのプロデューサーGuy BaronによるソロプロジェクトSemi Precious。The Guardian, DIYやThe Line Of Best Fitから賞賛を受けたデビューEPに続いて、今年7月Matthew Herbertをプロダクション、ミックスに迎えた新作EP『When We Talk』をリリース。ミニマリズムを極めた彼のソングライティングは美しいメロディーと繊細なサウンドが際立ち、EPを包み込む「嘘の誠実、曖昧な愛情」をテーマにしたメッセージが胸に真っ直ぐに突き刺さります。今回Lights + MusicはメールインタビューにてSemi Preciousのミニマリズムへのこだわり、Matthew Herbertのこと、そして彼が創業メンバーでもあるロンドンの新鋭レーベルSquareglassについて詳しくお話し伺いました。

Focus: Semi Precious
By Satoru ‘Teshi’ Teshima, August 30, 2015

自身の音楽を3つの言葉で表現してください。

「実験的な」「ベッドルーム」「ポップ」

音楽制作を始めようと思ったきっかけは何ですか?

長い間シンガーとして活動していたのですが、実際に作曲を始めたのはつい数年前からです。キーボードを使った伝統的な作曲もできるのですが、すぐに飽きてしまいました。それを考えると、本当に作曲を始めたのはサンプリングを使った実験を始めてからだと思います。サンプリングを使い始めたとき、作曲工程の中に強烈に本能的で、面白いものを感じました。それが僕のクリエイティビティを本格的に起動させたんです。

ミニマリズムは制限ありきです。あなたのソングライティングは、意図的にあらゆるものに縛られていますが、あなたがミニマリズムに惹かれる理由を教えてください。

選択肢が多すぎると困ってしまいます。僕は自分の作曲を簡素で凝縮されたものであると考えていて、物事が”オーガニック”に発達するのが良いことだと思っています。それはまるであらゆるものが一つ一つ明確で本質的なアイデンティティを持っているようなもの。僕の音楽は孤独や疎外感をテーマにしていて、それが音楽のまばらさや反射性を反映しているのかもしれません。僕の小さなベッドルームにあるミニマルなレコーディングセットも影響してます音楽はある意味そういうものであるべきだと思います。正面からつきつけてくる”ビッグ”なものより。

『When We Talk EP』は『嘘の誠実』をテーマにしています。その点について詳しく教えてくれますか?また何故そのような類の愛情を深堀りしようと思ったのですか?

情熱や愛情というのは曖昧で捉えどころの無いものだと感じていて、その複雑性を伝えようと思いました。このEPはコミュニケーション不足など、様々な理由から発生する「満たすことができない愛情」をテーマにしています。僕は満足できないもの、遠く離れていて、壊れてしまったものからよくインスピレーションを受けています。

Matthew Herbertとの仕事はいかがでしたか?

14歳の頃からMatthew Herbertのファンでした。本当にインスピレーションをあたえてくれる人で、何度も何度も彼の作品を聴き返し、毎回新しい発見がありました。この作品で彼のミックスとプロダクションの手法を目にすることができて大変光栄でしたし、嬉しかったです。

あなたは先進的なアーティストを集めた音楽レーベルSquareglassのレーベル創始者の一人でもありますね。Squareglassが他のレーベルと違うところは何ですか?

まず、僕たちはみんなとても近い友達で、伝統的な考え方で言う単なる「コマーシャル」なレーベルではありません。お互い信頼しあっていますし、コレクティブ(共同体)ならではの”セーフティ・ネット”があります。そこでは音楽的な実験ができ、自分のスタイルに自信を持ち、実践的にも創造性においても一人一人を応援しあうことができます。最近のシーンでは、特に小さな環境でレコーディングするベッドルームプロデューサーにとって、コレクティブは重要なものだと思います。

一番コラボレーションしてみたいアーティストは誰ですか?

Burialの音楽にとても影響を受けていて、彼とコラボレーションできたら最高ですね。”Rival Dealer”は真のマスターピース。エレクトロミュージックの境界線をあらゆる点で新たに定義付けた作品だと思います。

最後にSemi Preciousのこれからを教えてください。

バンドと一緒にライブをいくつかこなして、来年にはちょっとだけ今回よりも長く、コンセプト性が強い作品をリリースする予定です。

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『When We Talk EP』は現在発売中。BandcampやiTunesから購入可能です。

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Focus: Ash Koosha

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イランはテヘラン出身のAsh Kooshaが当ブログに『GUUD』ミックステープを送ってきたのは今年の四月。再生ボタンを押した瞬間にめくるめく音世界が耳の中だけではなく、頭の中に広がり、ジャンルという概念をぶち壊した世界観に一瞬で引き込まれました。まさに42分の脳内トリップ。Flying Lotusとよく比較される彼の音楽は、遊び心があり自由で先がまったく想像できません。リリースされるとYoutubeの辛口音楽レビュアーThe Needle Dropが彼に注目し、高評価を下します。アメリカの名門エクスペリメンタル音楽レーベルOlde Spelling English Beeも彼の才能に注目し、Name Your Priceで再リリースされることとなりました。最近はPitchorkのBest New Musicを獲得するなど、彼に対する評価、注目はさらに加速しています。当ブログはAsh Kooshaに再アプローチし、メールインタビューで彼の独特なコンポジションスタイル「ナノコンポジション」について、音楽環境、そして夢のコラボレーションなど様々なお話を伺うことができました。最後に『GUUD』のフル視聴リンクもありますので、ぜひぶっ飛んでみてください。

Focus: Ash Koosha
By Satoru ‘Teshi’ Teshima, July 28, 2015

あなたの音楽を3つの言葉で表してください。

没入、超分子、泡状建築

あなたはもともとクラシック音楽の教養がありますが、どのようにコンピューターでの音楽制作に興味をもったのですか?

クラシックの形と構造、そして僕の人生全てを語るような柔軟性に興味をひかれました。大人になるにつれてエレクトロニック音楽にもっと触れるようになり、さらにノイズとサウンドデザインの世界を探求する必要があると感じました。それから周波数で様々なものを試すようになりました。それからどこで見つけたかわからないようなサウンドで、クラシック音楽の形態をもった楽曲を作るようになったんです。

あなたのインスピレーションは何ですか?

未来。いま10年後の自分ががどうなっているか想像しながら実験的に生きるのが好きです。

今はロンドンを拠点に活動していますね。テヘランとの生活とどのように違いますか?

一般的に生活環境が選ぶサウンドや趣向に影響を与えると言いますが、私の意見では街がわたしたちのあり方を形作るのでなく、わたしたちが街のあり方を形作ると考えています。私にとってはロンドンは世界の大きな街の一つで、ただ制限は少ないですし、ロンドンならではの特徴をもった場所ではありますね。

『GUUD』は最初から最後まで通して聴くべきアルバムのように感じました。”Bo Bo Bones”、”JamJaamJam”、”SlamSlamSlam”など遊び心をもったタイトルがならびますが、なにかアルバムに特別なコンセプトはありますか?

トラックの名前は基本的にふっと思いついたものであったり、頭の中にあったイメージをそのまま表現したものです。”JamJamJam”と”SlamSlamSlam”は両方とも三幕構成のトラックで、一つはもともと頭の中で未来から来たバンドがジャムを繰り広げているイメージがあり、もう一つは3Dモデルのスラムダンクのビデオ(※漫画ではない)を何度も繰り返し見ているときにレコーディングしたので、このような名前になりました。

アルバムを通して感じたのがジャンル、スタイル、曲構成の『形を崩す』作業が次々と行われていることでした。「ナノ・コンポジション」というスタイルを取り入れたとのことですが、それについて詳しく教えてください。

ナノ・コンポジションは私のスケールと波形に対する執着心から生まれました。ナノテクノロジーや量子的領域についての書冊をたくさん読むのですが、ある日面白いアプローチを思いつきました。音楽を物質のように扱い、サウンドを物体として組み合わせることができる空間を作りだすのです。録音してあったサンプルのピースを仕掛けてみると、サンプルから生まれた一つ一つの波形のフラクタルパターンの中に、たくさんのランダムな音の行動を発見することができました。私が作り出した音の事象にあるふぞろいのカオスをうまくコントロールしようと試しました。結果、ふぞろいのサウンドで出来た見知らぬ世界への42分間の音楽体験が生まれたのです。ジャンルに関しては、結果がどうなるかまったく想像できないため、いま存在する音楽ジャンルの構造にはめこむことはできません。

このアイディアはどのように形になったのですか?

ショパンからヴァグナーまで、私は常にクラシック音楽を聴いています。でも時々、周波数は長年私たちが親しんだ楽器に制限されていると感じます。テヘラン音楽院にいる頃にサウンドをサンプリングしてクラシック音楽の形態に流し込むことで、それを変えてやろうと思っていました。年をとるにつれて、私は頭の中の音楽を映像化しているのだと気がつきました。それからクラシック音楽にピッタリ合い、演劇風な動きと構造的に価値のあるサウンドを探すのは面白いのではないかと思いました。最近ナノテクノロジーのことを知り、僕の未来主義的な問題を解消してくれる方法を見つけるための可能性が開きました。

アルバムタイトルの『GUUD』はグッドの意味ということですが、あなたにとってグッドな音楽はどのような音楽ですか?

GUUDは不完全のグッドです。ふぞろいのランダムなものや、偶発的なもの、エラーの中に「良さ」が存在すると考えてます。なので音楽は良くも悪くもあるべきでないですし、不完全なものから感情的なインパクトを引き出すべきだと思います。もしある瞬間の中で音の激しさがインパクトを与えるのなら、それは「グッドな音楽」と呼べると思います。

あなたの夢のコラボレーションは?

ラース・フォン・トリアー。

Ash Kooshaの次のステップはなんですか?

ナノ・コンポジションと音楽体験の現象学のアイディアをさらに推し進めた新しい楽曲をいま完成させているところです。

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Focus: Honne

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東ロンドンを拠点に制作活動を行う、AndyとJamesによる音楽ユニットHonne。Chet Fakerを彷彿とさせる美しくソウルフルなバリトンボイスに、ムーディーなビート、そしてきらびやかなカッティングギターを組みあわせた彼らの楽曲群は、甘くアーバンな質感にあふれています。彼らの音楽を、レフトフィールドなエレクトロとR&Bを展開する、巷に溢れるJames Blakeフォロワーたちと引き離すのは、間違いなく独特の優れたソングライティング。二人とも先生として音楽を子供たちに教えているらしく、音の緻密な配置や効果的な曲構成はプロフェッショナルな知識から生まれているのでしょう。今回Lights + Musicは、自身のTatemae Recordsから新作『Coastal Love EP』のリリースを5/6に控える注目の若手デュオに、メールインタビューを行いました。「建前と本音」と日本とのつながり、結成の背景、そしてこれからの活動など、詳しくお話を伺いました。

Focus: Honne
By Satoru ‘Teshi’ Teshima, April 9, 2015

まずはじめにHonneというユニット名と、自身が運営するレーベルTatemaeについて教えてください。「本音と建前」というフレーズは日本人の我々にとって馴染み深いものです。また”Coastal Love”のアートワークには日本語の表記もありますね。あなたたちの日本とのつながりはなんですか?

James: まずはじめに「本音」という言葉を知って、その美しさに惹かれたんだ。でも意味をもっと深く調べていくうちに、この言葉が僕らバンドのこととか、楽曲のテーマをうまく包括しているような気がした。だから「本音」とのつながりをキープするのがいいと思ったんだ。シンガーのAndyもここ数年日本で時間を過ごしていて、滞在中に出会った人々や訪れた場所がとても気に入っているんだ。すぐに日本でライブができるといいんだけど。

Honneの結成の背景を教えてください。

J: Andyと僕はおよそ6年前に大学で出会った。実は大学で彼が一番最初に出会ったヤツなんだ。様々なプロジェクトで一緒に作業をしていたんだけど、そのうち二人の組み合わせがうまくいくなって気がついて、それからずっと続けているよ。

音楽制作をしたいと思ったのはいつですか?

J: 12歳くらいの時、家族がギターをくれて、ギターの弾き方を勉強するのに完璧にハマってしまったんだ。ある程度まで上手くなってからは、演奏と作曲に集中するようになった。

現在のサウンドにどのように行き着いたのですか?

J: エレクトロ・ミュージックでの制作、そしてプロダクションレベルを成長させることに、とても長い時間を費やした。最終的に独特のサウンドが生まれたと、僕たちが感じることができた楽曲が出来上がって、そのスタイルでどんどん作曲するようになったんだ。そしてHonneが生まれたというわけさ。

『Coastal Love EP』の制作について詳しく教えてください。表題曲はいままでに公開された曲とはまた違ったサウンドを繰り広げていますね。何か今までと違ったアプローチをとったものはありましたか?

J: 正直いうと、特にそういったものはなかった。”Coastal Love”の最初の部分は、ハウスミュージック寄りのドラムビートからで出来ていて、それが曲のアップビートな感じを形作ったんだと思う。”Coastal Love”の夏らしいコンセプトも、過去のもっと夜っぽいトラックからの別れと言えるかもしれない。

新作EPリリース後のHonneの活動予定を教えてください。

J: これからUKとヨーロッパで幾つかライブが予定されてるよ。できればアメリカに行って、何度かライブをしたいと思ってる。もちろん新しいリリースも待ち構えてるよ。それぞれの活動の後ろで、アルバムの制作も進めていく。すでにアイディアがまとまり始めているんだ。音楽をリリースしていくのが本当に楽しみだし、楽しいライブもしていけたらいいな。

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5/6発売の新作『Coastal Love』はiTunesより予約可能です。

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Focus: TEEZ’FM

Photo by Nicolas Robin


TEEZ.FM
は6年前にティエリー・ヨソーが立ち上げたフランスのオンラインラジオステーション。彼らのセレクトする音楽は、Kylie MinogueやRoisin Murphy、Arcade FireからCut Copyまで、インディーとポップの塩梅がちょうどよく、さらにインタビューや楽曲の放送を通して、新進気鋭のアーティストたちの紹介に熱を注いでいます。世界中から音楽を聴きに彼らのサイトに集まるそうですが、なんと日本からの訪問者数は世界でも第5位らしいです。”We Are Pop”のスローガンのもと、世界中にハイクオリティのポップミュージックを届けるTEEZ.FMの創始者、ティエリーにお話をうかがいました。またLights + Musicのために、プレイリストも作成していただきました!当インタビューの最後からストリーミングできます。ぜひ聴いてみてください。

Focus: TEEZ’FM
By Satoru ‘Teshi’ Teshima, March. 19, 2015

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Focus: Dems

Dan Mossを中心として結成したイギリスの三人組ユニットDems。彼らの作り出す音楽は、ポストJames Blakeともいえる翳りを持った涼やかなプロダクションと、SohnやHow To Dress Wellを彷彿とさせるソウル、R&Bの要素をミックスした、良質のシンセポップを展開しています。2014年には彼らが得意とする卓越したメロディーセンスにエクスペリメンタルな要素をちりばめた楽曲集『Muscle Memory』をリリース。これからの動向が注目されているグループの一つです。Lights + Musicはそんな彼らにEmailインタビューを執行しました。バンドの成り立ち、音楽制作のプロセスについて、アルバムのインスピレーション等、興味深いお話を伺うことができました。

Focus: Dems
By Satoru ‘Teshi’ Teshima, March. 11, 2015

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Focus: Oscar Key Sung

今月5月31日に恵比寿のリキッドルームで開催させれるオーストラリア音楽ショーケースでの主演も決定しているメルボルンを拠点に活動するインディー・エレクトロ/R&Bアーティスト、Oscar Key Sung。近未来的な世界観と表情豊かなボーカルをコラージュのように重ね、独特のソウルを生み出しています。今回当ブログではメールを通じて、この間リリースされたEP『Holograms』(国内盤もP-Vineから配信中です)ばかりの彼にフォーカス。オリジナルな世界観がどのようにして出来上がったのか、インスピレーション、そして現在の音楽業界に対するアイディアなど、彼の素顔に迫りました。

Interview: Oscar Key Sung
By Satoru ‘Teshi’ Teshima, May. 11, 2014

音楽を作り始めたのはいつ頃からですか?

五歳くらいのときから作曲を始めました。Jackson 5に居た時の若いマイケル・ジャクソンに夢中だったんです。そのくらいから音楽を作って遊んでたりしましたね。一人っ子でしたから…。それで時間を過ごすことができました。色んな小学校に移っていたので、毎回休み時間はその学校に合った違った楽器を使って遊んでました。そこから何でも屋(マルチ・インストゥルメンタリスト)になっていったんだと思います。

あなたのインスピレーションはなんですか?それをどのように曲に仕上げますか?

最近はコンテンポラリーなSF映画のトレイラー映像や90年代の日本アニメにインスピレーションを受けています。この間の夏をシドニーで過ごし、そこで盛り上がるダンスカルチャーを経験しました。とても素晴らしく思いましたし、わたしの最近の楽曲にも影響を与えています。メロディー面ではPevinn Everett, Craig David, TinkやDonnel Jonesにつねにインスピレーションを受けてます。

『声』はとてもインスピレーショナルなものだと感じています。特に声をサンプルやキーボードで操作するのは”Key Sung”プロジェクトにとって不可欠なものです。大抵は自分の声をサンプリングしていますが。わたしはつねに一つの歌を思い描いたり、思い描くように意識しています。そうするとゆっくりと、インスピレーションのかけらを集めながら一つのものになっていきます。物語とリリックの関係はわたしが納得するように繋がっていなければならない。ですから、グルーヴや編曲を始める前に、曲は大分前から仕上がっていることが多いです。

“It’s Coming”と”All I Could Do”は同じようなネオ・ローマ調のアート性を備えてますね。これは意図的なものですか?

わたしはどちらかというと両ビデオとも「古代・未来的」なアート性を共有していると思います。”All I Could Do”は確かにもう少しローマ調ですね。SF映画やアトランティス文明等の古代神話にあるパラレルな現実性がどことなく有機的なテクノロジーを持っているというアイディアにインスピレーションを得ています。未来的な習慣と古代的な習慣の双方に満たされた世界のことです。わたしとビデオのヴァイブに非常に貢献したディレクター、Tristanでお互いの夢や芸術性について長い時間話し合い、このようなタイプのイメージに対し同様の興味があるということに気がつきました。

“All I Could Do”という曲は、部分的に絶対的な輪廻と、自分が常に同じ輪を回っているのに前へ進もうとする目的の無い行為について歌っています。”AICD”というビデオの制作アイディアを練っているとき、ホルヘ・ルイス・ボルヘスの『Labyrinths (ショートストーリー集)』を読んでいました。”The Immortals”という短編にビデオのインスピレーションを得ています。不死の人々によって建てられた、実際にはあり得ないような建築物の美しいイメージに溢れていて、彼らの時の過ごし方の経験が描き出されています。わたしはそれをTristanに説明し、彼とReuben (3D効果を作った人です)がそれを表現してみせました。

あなたはすでに多くのアーティストにビートを提供していますね。自身はプロデューサーかシンガーかどちらだと思いますか?

面白く聞こえるかもしれませんが、わたしは自分のことをただのクリエイティブな人間と思っています。音楽に対しては、洗練されたアーティストのように色んなメディアを用いて接近したいと思ってます。ただ一つのことに打ち込んではいられません。それはきっと嫌になります。

あなたのライブからは何を期待出来ますか?

たくさんのベース音、そしてそこに潜んだエロティシズム。いまはライブセットにMidiのギターを組み入れようと作業中です。

あなたは自身のBandcamp上で自分の素材を多く「Name Your Price (投げ銭式)」で提供していますね。インディー畑で活動するアーティストにとって、現在の音楽業界についてどうお考えですか?

わたしがフリーで提供しているのは大抵はすべて自分で手をかけたものです(アート・作曲・録音・ミックス・マスタリング含め)。もしレコーディング・スタジオなどに大量のお金を費やしているなら、お金を求めてもフェアだと思いますけどね。でも時間以外にオーバーヘッドするものが無ければ、無料で提供するのも気楽ですし、ナイスだと思います。プレッシャーがかかるようなものでもないですし。時には音楽はアイディアのように無料で入手可能なものであるべきと考えることもあります。でも音楽がインフラストラクチャーの一つで、それで稼がなければならない人がいるという良さも分かります。すごい難問ですよね。この先十年どう業界が変わって行くかとても気になってます。

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オーストラリア音楽ショーケースの詳細はこちら

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Focus: The Soft

イギリス、サフォーク州出身のエクスペリメンタル・ポップ・トリオ The Soft が昨年デビューEP 『Uncanny Valley』を、Ceremony Recordingsからリリースしました。

‘Uncanny Valley'(不気味の谷現象)とは、日本の学者、森政弘が提唱した現象で、ロボットの容姿や動きがある程度人間に近づくことで人が感じる嫌悪感のことだそうです。

彼らは一昨年暮れにリリースしたシングル”Mori”から、その概念を軸に、様々な実験的要素を取り入れた音楽、アートワーク、映像に至るまでを制作してきました。

デビューEP収録の’Prana’では、幻想的で不気味なボーカルが呼応し、ミニマルなビートが反復。サウンドの面でも、ソフトから生み出された音だけではなく、ハード(アコースティックのインストゥルメンタル音源など)をいじくり、サンプルとして織り交ぜられています。彼らのアートワークやビデオにも不気味なまでに人工とオーガニックが入り混ざっています。

「作品が人工の技術で完全なる再現が可能になればなるほど、その作品に対し懐疑的な感情を抱いてしまうのでは」と、彼らは皮肉を込めて、作品内でそれを伝えようとしているのでしょうか。

先日『Uncanny Valley Remixes』が公開し、ますます音楽性の振れ幅を見せつけているThe Soft。その覆われたベールを剥がすべく、メールインタビューを行いました。

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Focus: Ry X

オーストラリアの原住民アボリジニーにとって、夢を見ることは何かを創造することに等しいと言います。オーストラリア出身のソングライター、Ry Xは自身の音楽を「ドリーム」と呼び、愛を宇宙一美しいものと語ります。言葉で説明出来ないものを音楽で表現する。夢見(ドリーミング)そのものです。

極限まで必要の無い音を削ぎ落したミニマルなサウンドプロダクション。夜空に輝く星々を感じさせる、どこか清逸感を持った歌声と、エモーショナルなリリック。Bon Iverに比較されるフォーキーなタッチと、生々しさ。ストックホルムのレーベルDumont Dumontから今年リリースした『Berlin EP』に収録された楽曲はそれぞれに違ったキャラクターを持ち、聴き手に訴えかけます。

今回Lights + Musicはそんな彼にメールインタビューを実施しました。

Focus: Ry X
By Satoru Teshima, Oct 3, 2013

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