Live Report: Predawn


Photo Credit: Takanori Kuroda

Live Report: Predawn
By 黒田 隆憲, July 28, 2013

今年3月に待望のファースト・フル・アルバム『A Golden Wheel』をリリースした、Predawnこと清水美和子のワンマン・ライヴが、6月30日に新代田FEVERにておこなわれた。チケットはかなり早い段階でソールドアウトとなり、会場には20代の男女を中心に幅広い世代のファンが駆けつけていた。開演時刻18時半を10分ほど過ぎた頃に客電が落ち、アルバム冒頭を飾る「JPS」のグロッケンシュピールが流れる中、ベースとドラムを引き連れ清水が登場する。これまでにも何度かバンド編成によるライヴを披露してきたPredawnだが、ライヴの1曲目から「弾き語りではない」というのは、おそらく初めてのことではないだろうか。「基本的にあまのじゃく」(「CINRA」インタビュー)を自称する彼女らしい、(早くも)こちらの期待を心地良く裏切る展開には思わずにやりとしてしまう。

アレンジも、あくまで「アコギとうた」を基軸としながらリズム隊がそっと支えるような、アルバムに準じた楽曲もあれば、エレキギター(フェンダー Telecaster)を抱えた清水がヘッドバンキングしながらリフやソロを弾きまくる、アグレッシヴな楽曲までヴァラエティに富んでいる。極めつけは前作『手のなかの鳥』収録の〈Apple Tree〉で、中期ビートルズばりに動き回るベースラインとハネたドラミングによって、全く別の曲に生まれ変わっていた。筆者はこれまで「清水美和子が1人で作り上げる世界観こそが、Predawnの真骨頂」と思い続けてきたが、今日のバンド・アレンジを聴いて「これは考えを改めるべきだな」と強く感じた次第である。

途中でサポートの2人が退場し、いつもの「アコギとうた」で数曲演奏した後、およそ10分間の休憩。BGMには、ちょうど10分近い長さの(正確には8分22秒の)、ビートルズ〈Revolution 9〉を流すという心憎い演出もあった。後半はRayonsこと中井雅子もピアノで登場し、チェロ奏者と3人で〈Blackbird〉(またしてもビートルズ!)のカヴァーからスタートする。これがまた素晴らしく、現代音楽とジャズとソウルをミックスしたようなアレンジに、終始鳥肌が立ちっ放しだった。他にも清水がヴォーカルで参加した Rayons作の名曲中の名曲〈Halfway〉(『After The Noise Is Gone』収録)や、ビョークばりのヴォーカルを聴かせる〈Waxing Moon〉(『Projection』)を披露。ベースとドラムが加わってのPredawnによるラグタイムなナンバー〈Custard Pie〉(『手のなかの鳥』収録)と、豪華な共演に酔いしれた。

もちろん、いつもの“美和子ワールド”も全開。トランペット・ソロは緊張し過ぎたのかグダグダだったり、「こんなチビのために、こんなに集まってもらって すみません」とか、「あの、終電ない人は遠慮なくお帰り下さい」とか相変わらずMCは自虐ネタ満載だったり、最初から最後まで“緊張と緩和”が入り乱れ、息をつく暇も(?)なかった。他にもベルギーのバンド、Marble Soundsと共作した〈Sky High〉や、アルバム未収録の新曲までたっぷり演奏。およそ2時間に及ぶステージは、これまでのPredawnの集大成であり、同時に次なる展開を予感させるものでもあった。彼女の更なる飛躍にも期待大だ。

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