Interview: Port St. Willow

 (3)NYのマルチインストゥルメンタリストNicholas Principeによるプロジェクト、Port St. Willowが、ブライアン・イーノに絶賛された2012年の傑作『Holiday』に続く新作『Syncope』を日本のflauから今月の27日にリリース。今作は自身がインスピレーションを受けたというTalk Talkの後期アルバムやThese New Puritansの『Field Of Reeds』と共振するスロウコアバンドサウンドを展開しています。また『アイディアが生まれた瞬間を捉える』ことをコンセプトにし、インプロビゼーション(即興演奏)にフォーカス。ちいさな誤りやノイズもそのままに、ポストプロダクションを排するというアプローチをとることで、独特の緊張感やそこから生まれる人間味を残さずパッケージしています。耳をすませば済ますほど、遥か遠くで息をする、ちいさな音の数々に出会うはずです。

今回Lights + Musicは新作アルバム『Syncope』のコンセプト、インプロビゼーションに惹かれる理由、タイトルの秘密などたっぷりお話をお伺いすることができました。インタビュー後にはアルバムの一部の楽曲を公開中。さらに深化するサウンドをぜひ目撃してください。

Interview: Port St. Willow
By Satoru ‘Teshi’ Teshima, January 30, 2016

自身の音楽スタイルをどのように3つの言葉で表現しますか?

メロディック、リズミック、ドローン。

音楽の道を進もうとはじめて決意したのはいつですか?

とくに意識して決めたことではないと思う。どんなことがあっても、音楽に戻ってくる。もう人生の一部のようなんだ。子供の頃から何らかの形で音は鳴らしていたよ。

初めての曲はどのようなものでしたか?

サックスとトランペットのデュエット曲。駄作だった。

現在の音楽へのアプローチ方法を教えてください。

Port St. Willowのプロジェクトを始めた頃は、音楽とノイズが大きく僕の頭の中に流れていた。作曲への興味はもちろん薄れていなかったけれど、歌が存在する「環境」についても深く考え始めたんだ。その空間へつながる道を、どのように作れば良いのかと。

新作アルバム『Syncope』の制作プロセスについて教えてください。

目を見開いて、自分がバラバラに切断されたんだと気がつく。そして今まで見たことのないような真の黒に体が包み込まれ、その空っぽの状態をついに受け入れた時、人が知る限り一番冷たい水の中に飛び込む。(このアルバムでは)そんな感覚を手に入れたかった。

この作品はインプロビゼーション(即興演奏)に重きを置いて作られています。インプロビゼーションのどこに惹かれますか?

音の探求には、どこか素晴らしいものがあるんだ。あらゆるものが新しくて、演奏する側はつねに神経を研ぎ澄ませなければならない。「もしかしたら台無しになるかもしれない。」そんな瞬間には危なさがあり、その時、自分が何をしているかに気づかされる。『Syncope』の制作中はこの考えに魅了された。自分の居場所から僕を遠ざけるものが人生にはたくさんあって、このアルバムを作ることでそのフォーカスをリセットすることができたんだ。

「アイデアが生まれた瞬間を捉える」ことに焦点を置いた作品ですが、このコンセプトから何を学ぶことができましたか?
バンドであれ、ひとりであれ、「アイデアが生まれた瞬間を捉える」ために作業するのは、とても徹底したプロセスになるんだ。セッションを終えた時に、全く空っぽの気分になったのを覚えているよ。

 (6)どんなことがあっても、音楽に戻ってくる。
人生の一部のように。

今回のレコーディングは、自分とのつながりを非常に感じた。ちっぽけなドローンやベルのサウンドなど、ちいさなことなんだけど、それらが僕が心から愛する形で全体に馴染んでくれていたんだ。少しの間違いはエディットせずに放っておく。その方がリアルに感じるから。ベストテイクだけを残すんじゃなくて、インスピレーションを捉えようとすると、そういうものが増えるんだと思うよ。これを明確に定義するのは難しいことだと思うけど、このコンセプトに惹かれた最初の理由は、まさにそれだったんだ。
後期のTalk Talkの作品(『Spirit of Eden』や『Laughing Stock』)の大ファンでね、彼らのセッションからインスピレーションを受けた。彼らはとてもピュアでベーシックなものを追い求めていて、そこから生まれたサウンドを集めていたんだ。

『Syncope』というアルバムタイトルについて詳しく教えていただけますか?あなたの個人的な経験からくるものですか?

Syncope(シンコープ)には気絶、あるいは急に意識をなくすという意味がある。実際に僕の近しい人が倒れ、結果的に想像を超えた難しい時期が始まったことに関係している。また予測できないことがどこからか現れ、僕たちの現実感を急激に変えてしまうことや、そういう闇を覗いたり笑ったりすることで見つかる美しさを、比喩的に指している。

今のブルックリンのミュージックシーンについてどのように感じていますか?

何年かブルックリンに住んでいたよ。いろいろなシーンがあるから、ひとつにまとめあげるのがとても大変な場所だ。住んでた時には僕が尊敬するミュージシャンに出会うことができたよ。でも手頃なスペースや時間の不足が、彼らのポテンシャルに合ったアートを作る妨げになっていた。それを可能にしていた人たちもいたけど、僕や他の人たちは結局街から離れたところで制作活動をするようになってしまったんだ。

最後に、あなたにとって今年一番エキサイティングなことはなんですか?

何年も引越しを続けて、2011年にオレゴン州に住んでいた時以来初めてのホームスタジオを作るんだ。これより幸せなことはないよ。

『Syncope』はflauより発売中。

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